【どう見るこの相場】地政学リスクが高まり様子見ムード継続

どう見るこの相場

 今週9月4日~8日の株式市場は様子見ムードを継続しそうだ。ドル高・円安が進まず輸出関連企業の業績上振れ期待が後退するなど、好材料に乏しい状況が続いている。一方で、北朝鮮の核実験で地政学リスクが再び高まる。さらに米国の政治・財政リスク、米利上げ観測後退などで為替がドル安・円高方向に傾くことが予想され、日本株もリスクオフの動きを強める可能性がありそうだ。

■日本株は好材料乏しく様子見ムード継続

 前週(8月28日~9月1日)は、北朝鮮のミサイル発射を受けて週前半に為替が1ドル=108円台前半までドル安・円高方向に傾き、日経平均株価は29日に5月1日以来の安値水準となる1万9280円02銭まで調整した。ただし、その後は移転して為替が1ドル=110円台半ばまでドル高・円安方向に傾く流れとなり、日経平均株価は週末9月1日に1万9700円台を回復する場面があり、戻りを試す形となった。

 今週(9月4日~8日)も好材料に乏しい状況に変化はない。一方で、北朝鮮が核実験を行ったことで地政学リスクが一時的に高まりそうだ。また米政府の債務上限問題や政府機関閉鎖問題も9月末まで継続するだろう。さらに前週末1日の米8月雇用統計が市場予想を下回る結果だったことを受けて、米FRB(連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測も一段と後退しそうだ。為替がドル安・円高方向に傾くことが予想され、日本株は様子見ムードが継続しそうだ。

 国内では4~6月期決算発表を通過して好材料が乏しいうえに、東日本の長雨や日照不足による個人消費への悪影響が警戒され、さらに為替がドル高・円安方向に進まないことで、自動車など輸出関連企業の7月~9月期の業績上振れ期待が後退している。またチャートで見ると日経平均株価は25日移動平均線を突破できるかが焦点となるが、週初に反落すれば25日移動平均線が抵抗線として意識される形となりそうだ。前週の戻りを試す動きに水を差される形となって、リスクオフの動きを強める可能性もありそうだ。基本的にはリスクオフムードと閑散相場に大きな変化はないだろう。

■好業績の内需系中小型株に注目

 物色面でも主力大型株が敬遠され、好業績・好材料の中小型株に短期資金が集まる流れが継続しそうだ。医療・シルバー関連のように、為替や天候不順の影響を受けにくく、ディフェンシブ性の強い内需系中小型株に注目したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■環境要因は50%、漁獲圧は25%、状態空間モデルで初の定量評価  東京大学は11月1日、日本周辺…
  2. ■ドジャース、球団史上初の2年連続制覇  ロサンゼルス・ドジャースは、2025年MLBワールドシリ…
  3. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  2. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  3. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  4. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  5. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  6. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る