【どう見るこの相場】NYダウ・日経平均の行方

NYダウ・日経平均の行方

■昨年夏と大きく異なり今回は陰性的な下げ、現実悪で米はドル安政策、日本は円高防止策

【相場の方向と物色の方向】

 NYダウは終値で前週末に昨年9月28日の1万6001ドルを下回り1万5988ドルと1万6000ドル台を割り込んだ。

 現在の位置は、戻り高値1万7918ドル(終値=11月3日)に対し1930ドル下げたところ、一方、昨年8月のボトム1万5666ドル(終値=8月25日)に対し322ドル上、という水準である。この位置をどう見るかである。

 約2カ月半で1930ドル(約10.7%)下げていることからみれば、短期的には一旦はリバウンドに向うことが予想される。しかし、リバウンドがそのまま本格反騰につながるかどうかは全く不透明である。

なぜなら、理由は次のことが挙げられる。

(1)昨年夏の下げは、僅か数週間の陽性的な下げだったが、今回はほぼ3カ月間におよぶ、戻しては下げる繰り返しで、陰性的な下げである。こういうケースでは、材料は同じであっても、1回目の時は驚きはするが尾を引くものではないが、2回目は1回目の材料が現実悪化していることで手が出し難くなってきたという違いがある。

(2)アメリカの景気対策が、既に出尽してしまっている。オバマ政権は、今年の秋に交代が決まっているため、景気に対し、次なる一手が打てない。

(3)しかし、アメリカの景気は、これまでのドル高の影響が現れ始めていることと、利上げの影響が今後、表面化してくるため景気・企業業績の減速感が強まる可能性がある。

 このため、基本的にはマーケットの動きのままということだろう。せいぜい、景気対策で、打てる手といえば、「ドル高是正」で、ドル安だろう。足元では、その動きが顕著となっている。

 このため、日本のマーケットは、「円高」(ドル安)の下げ圧力が加わり、日経平均は戻り高値(終値12月1日=2万0012円)から15日の終値1万7147円まで約40%下げ、昨年9月29日の安値(1万6930円)へわずか217円と接近している。

 日経平均も下げ過ぎから一旦は戻りの見込めるところに来ているとみられる。とくに、円高阻止で日銀が金融緩和策に打ってでるかどうかにかかっている。売方はこの点を意識して深追いは避けるだろうから日経平均は昨年安値接近で反発に転じるだろう。むしろ、売方は日銀の緩和策が実施された場合、その効果を見極め、景気がそれほど上向かないとみれば再び売り攻勢をかけてくるように思われる。しばらくは、短期反発狙い、中期買いは慎重がよいだろう。

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