【編集長の視点】ワコムは3Q好決算を手掛かりに今期通期業績の再上方修正期待を高めて急反発

 ワコム<6727>(東1)は、前日8日に22円高の557円と急反発して引けた。同社が今年2月7日に発表した今2018年3月期第3四半期(2017年4月~12月期、3Q)決算が、V字回復して着地し、昨年11月1日に上方修正した今3月期通期予想業績をすでに大きく上回る高利益進捗率を示したことから、予想を変更しなかった通期業績になお再上ぶれの余地があるとして、再上方修正を催促する値ごろ株買いが再燃した。国内大手証券会社が、目標株価はやや引き下げたものの、投資判断を依然として「Buy(強気)」を継続したことも、フォローの材料視されている。

■3Q営業利益は前年同期比6.4倍とV字回復し通期予想業績を11億円上回る

 同社の今2018年3月期業績は、昨年11月1日に第2四半期(2017年4月~9月期、2Q)累計業績と3月通期業績が各上方修正され、このうち3月通期業績は、期初予想より売り上げを41億円、営業利益を11億円、経常利益を13億6000万円、純利益を8億円それぞれ引き上げ、売り上げ809億円(前期比13.4%増)、営業利益29億円(前期は11億7100万円の赤字)、経常利益31億円(同8億7000万円の赤字)、純利益19億3000万円(同55億3400万円の赤字)と見込み、V字回復を鮮明化する。テクノロジーソリューション事業では、スマートフォンとタブレット向けの販売が好調に推移し、ブランド製品事業でも、コンシューマービジネスの売り上げが伸びることなどが寄与するもので、前期に無形固定資産に計上した減損損失(42億2372万円)が、一巡することで純利益は大幅に黒字転換する。

 この上方修正のあと11月7日に開示した今期2Q累計業績は、上方修正通りに売り上げが前年同期比20.4%増と増収転換して利益も黒字転換、上方修正した3月通期予想業績に対して高利益進捗率を示しており、今年2月7日に発表を予定していた今期3Q決算への期待を高めていた。実際に7日に発表された今期3Q業績は、売り上げ652億7300万円(前年同期比19.2%増)、営業利益40億700万円(同6.40倍)、経常利益42億300万円(同5.47倍)、純利益39億7800万円(前年同期は9900万円の赤字)で着地し、利益は、3月通期予想業績を11億円~20億円上回った。通期予想業績の据え置きは、3Q以降にブランド製品事業の一部製品ラインに開発遅れが生じる可能性があるとして慎重にみているためだか、3Q業績の高利益進捗率から期末に掛けて再上方修正を催促する動きを強めることになる。

■25日線から11%超のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆し昨年来高値奪回にチャレンジ

 株価は、減損損失計上による前期純利益の下方修正・赤字拡大などで300円台で下値を探り、今期業績の黒字転換予想で400円台、500円台と底上げ、昨年11月の今期業績の上方修正では、ストップ高を交えて昨年来高値690円まで上値を伸ばし、25日移動平均線水準での中段固めを続け、年明け後は672円の戻り高値をつけた。2月第2週に入ってからは世界同時株安が波及して500円台で下値を探る動きとなったが、25日線からは11%超の下方かい離と下げ過ぎを示唆している。値ごろ妙味のあるハイテク株として再騰、昨年来高値奪回にチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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