【忠田公夫の経済&マーケット展望】マーケットは金利高を織込み始めた

忠田公夫の経済&マーケット展望

■ニューヨークでは有利子負債の多い公益株を敬遠

 米国の2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が市場予測(24万人増)を上回り前月比29万5000人の増加となりました。しかも、5.5%という2月の失業率は、リーマン・ショック後ピークだった2009年秋の10.2%を4.7ポイントも下回り、FRBが目指す、「完全雇用」を前提とした領域まで低下してきたのです。

 しかし、平均賃金の上昇率は前月比で0.1%、前年同期比でも2.0%の伸びにとどまりました。また、エネルギーなどを除いたコアのインフレ率も依然として1%台の前半のままで、FRBが中期的に目指す2%との間に距離があります。

この雇用統計が発表され、先週末のNYダウは278ドル急落しましたが、米10年国債の金利は前日比0.13%急騰し2.24%で終わりました。これは雇用統計の後押しを受けて、やがて賃金も上向くとFRBが読みますと、6月にも利上げに踏み切る可能性がでてきたとの観測が市場で強まってきたことにほかなりません。

この半年間の原油の値下がりを背景に世界は低インフレに見舞われ、各国の中央銀行は物価を押し上げるために、こぞって金融緩和を強化してきました。こうした流れの中で米10年国債の金利は今年1月30日.に1.64%まで低下し、ここをボトムに0.6%上昇しました。

わが国の10年国債の金利も同20日の0.195%を底に先週末は0.385%に上昇しています。

3月18日のFOMC終了後の声明文から、「忍耐強く」という文言が削除されることになりますと、米金利の上昇がさらに強まるかもしれません。

SP500種の業種別株価指数では有利子負債が多く金利上昇がマイナスとなります電力・ガスなどの「公益業種」が先週末3%安と値下がり率最大となりました。

わが国の株式市場でも安定して高い配当利回りが得られます医薬品や食品など、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄が金融緩和の流れの中でこの数カ月にわたり人気化しましたが、FOMCの内容いかんでは注意する必要が出てきそうです。(アナリスト)

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