【編集長の視点】中本パックスは連続最高業績見直しに新工場稼働先取りがオンして割安株買いが膨らみ続伸

 中本パックス<7811>(東1)は、前週末8日に3円高の1755円と続伸して引け、今年5月31日につけた株式分割権利落ち後安値1696円からの底上げに弾みをつけた。今2019年2月期業績が、連続して過去最高更新と予想されていること見直し割安株買いが増勢となった。今年9月には、国内と中国で2新工場が稼働を開始することも、業績期待も高め先取り買いされている。

■新工場稼働で「Nブランド」製品の拡販に弾みをつけIT・工業材も順調

 今2019年2月期業績は、売り上げ345億円(前期比4.6%増)、営業利益15億円(同12.6%増)、経常利益16億円(同7.6%増)、純利益10億円(同1.9%増)と予想され、前期の過去最高業績を連続更新するとともに、市場コンセンサスも上回っている。食品分野では、コンビニエンスストア向けの薄型フィルムが好調に推移しているほか、リサイクル可能な環境対応パッケージとしてPET改質技術をベースに自社開発した「Nブランド」製品の生産能力を拡大させながら拡販し、IT・工業材分野でも、スマホ向けディスプレイ部材や電子部品部材などが堅調に推移することが要因となる。
 この生産能力増強に関しては、今期設備投資を24億5000万円(前期実績11億5600万円)と積極化させ、このうち「Nブランド」製品群を生産するクリーンコーティング専用の埼玉工場第3工場は、今年9月に竣工して稼働開始とともに即フル生産に入り、食品包装材を生産する中国・滄州工場も、同9月に一部が稼働を開始する予定である。積極的な設備投資に伴い減価償却費負担も増加するが、生産能力増強が直ちに即戦力となりカバーして連続の過去最高更新となる。

 なお同社は今期配当も、年間55円と高配当を予定しており、今年2月28日を基準日に実施した株式分割(1株を2株に分割)を勘案すると前期の東証第1部上場の記念配当10円込みの年間110円を普通配当として実質的に継続する。

■PER14倍台、配当利回り3.13%のバリュエーションを手掛かりにまず分割落ち後高値奪回

 株価は、昨年9月の東証第1部への市場変更、前期第2四半期累計業績の上ぶれ着地、株式分割と好材料が続いて今年1月に上場来高値4770円まで買い進まれ、4675円で株式分割の権利を落とした。分割権利落ち後は、理論価格の2000円台下位を固める動きを続けたが、原材料価格に影響を与える原油先物(WTI)価格が一時、1バーレル=72ドル台に急騰したことや、ここにきてはイタリア政局不安、米トランプ政権の保護主義的な通商政策などを嫌って全般相場が軟調に推移したことで分割権利落ち後安値1696円へ調整した。原油先物価格は、足元で1バーレル=65ドル台央と落ち着きを取り戻し懸念材料の一部が解消しつつあり、同社株の一段の底上げをサポートする。PER14倍台、配当利回り3.13%のバリュエーションを手掛かりにまず分割権利落ち後高値2324円を奪回し、さらに分割権利落ち埋めにチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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