【編集長の視点】綿半HDは続落も類似会社のIPO高人気で連続最高業績、設備投資倍増を見直し底値買い有望

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日21日に80円安の3230円と4日続落して引けた。同社株は、今年6月8日に発表した今年5月度の月次売上高が、昨年12月に閉店した不採算店の三鷹店の影響で前年実績を下回ったことから、下値を探る動きを続け6月20日には、全般相場大幅続落も重なり年初来安値3190円へ調整した。ただ売られ過ぎは明らかで、大出直りに転ずる期待も高まっている。このキッカケとなるのは、前日21日に東証第2部市場に新規株式公開(IPO)されたコーア商事ホールディングス<9273>(東2)の高人気で、同社は、ジェネリック(後発)医薬品原薬の仕入販売・製剤の製造販売を主力事業としており、公開価格2670円を約5割上回る4000円で初値をつけ4150円まで買い進まれた。綿半HDも、貿易事業の一環で同様の事業を展開し類似会社として比較感を強めるとともに、さらに今2019年3月期業績の連続過去最高更新や今期の設備投資倍増の積極計画などが大きく見直され、売られ過ぎ訂正買いが再燃する展開が想定されるからだ。テクニカル的にも今年2月につけた上場来高値4875円から3割超下落し、日柄も4カ月経過し値幅・日柄調整一巡を示唆しており、株式需給的にも、薄めながら株不足で逆日歩がついている信用好需給がサポート材料となりそうだ。

■取り扱い原薬数の倍増を目指し製薬研究所を刷新しインドに拠点開設

 同社は、スーパーセンター事業と建設事業、貿易事業を展開しているが、このうち貿易事業では、当初はメキシコ、インドからの宝石類の輸入販売を中心としていたが、1995年には製薬研究所を開設してジェネリック医薬品の原薬供給事業に進出した。今期は、この取り扱い原薬数を倍増させるために製薬研究所を刷新するとともに、ジェネリック医薬品大国のインドに拠点も開設する。こうした積極策により貿易事業の今期売り上げは前期比1.6%増の48億9000万円、セグメント利益は同2.7%増の6億3000万円と続伸を見込んでいる。コーア商事HDの高IPO人気が、同社の独自ビジネスモデルの再評価を高めることになる。

 今期の積極的な設備投資は、この貿易事業のみにとどまらない。スーパーセンター事業では、前期の物流拠点集約から物流設備増設・増床へ舵を切り、建設業では自動化ロボットやドローンの導入を進め、今期の目標の「筋肉質の経営体質の整備」を実現する。このため今期の設備投資は25億円(前期実績10億円)と前期比2.5倍と積極化を計画している。

 今期業績も好調である。不採算店の三鷹店を閉店させたほか、主力のスーパーセンター事業では特売を廃止する「EDLP/EDLC戦略」をさらに進化させ、今年4月からチラシを30%削減させていることなどが寄与する。売り上げ1028億1000万円(前期比0.4%増)、営業利益24億4100万円(同4.1%増)、経常利益26億400万円(同4.1%増)、純利益15億3600万円(同3.6%増)と予想され、前期の過去最高を連続更新する。

■逆日歩のつく信用好需給も加わって「3割高下に向かえ」の絶好のチャンス

 株価は、今年1月に発表された創業420周年の記念配当・増配がサプライズになって上場来高値4875円まで急伸し、配当権利落ち後は、4000円台を出没する中段固めを続けたが、月次売上高の連続マイナスやイタリアの政局不安、米トランプ政権の保護主義的貿易政策を嫌って世界的に株価が乱調となる影響を受けて年初来安値3190円まで調整した。最高値から4カ月を経過、下落率も34%と日柄・値幅調整一巡を示唆しており、株不足で逆日歩のつく信用好需給も支えに相場格言の「3割高下に向かえ」の絶好のチャンスとなりそうだ。まず最高値からの調整幅の半値戻しとなる4000円台奪回に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治) 

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