【編集長の視点】ヨコレイは業績下方修正を織り込み期末配当取りに中期経営計画見直しがオンして急反発

株式市場 銘柄

 ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日13日に20円高の895円と3日ぶりに急反発して引け、前々日の12日につけた年初来安値866円から底上げをした。同社株は、今年8月10日に今2018年9月期業績の下方修正を発表して、年初来安値へ120円下ぶれたが、織り込み済みとして期末配当の権利取りも加わって売られ過ぎ訂正買いが再燃した。合わせて現在推進中の新中期経営計画を見直し、垂直統合ビジネスモデルの構築が一段と進む次期2019年9月期業績への期待も高めている。

■中期計画では垂直統合ビジネスモデル構築などで最終年度の純利益は53億円目標

 同社の今9月期業績は、売り上げを期初予想通りに1630億円(前期比2.5%増)としたが、営業利益を20億円引き下げて50億円(同3.4%減)、経常利益を19億円減額して51億円(同6.1%減)、純利益を10億円ダウンさせて30億円(同10.7%減)とし、前期の過去最高から3期ぶりに減益転換する。冷凍倉庫事業は、新設物流センターが稼働率を向上させるなど順調に推移したが、食品販売事業で、主力商材のエビ、イカ、カニなどの価格が高値で推移し、このコスト上昇分を販売価格に十分に販売価格に転嫁できなかったことが、下方修正要因となった。ただ今9月期配当は、期初予想に変更はなく、設立70周年の記念配当3円を上乗せして年間配23円(前期実績20円)に増配する。

 なお現在推進中の新中期経営計画「Growing Value 2020」では、最終年度の2020年9月期の目標数値として売り上げ1800億円、営業利益85億円、経常利益85億円、純利益53億円の達成を目指している。同計画の成長戦略として、食品販売事業では、リソースプランとリテールアプローチを融合させる垂直統合ビジネスモデルの構築を盛り込んでおり、海老養殖事業に次いでノルウェーのトラウト養殖事業が、今2018年9月期から本格的に業績寄与している。また経営基盤の深化としては、戦略的CTIの構築を続けており、この面でも昨年1月に幸手物流センターにトラック予約システムを試験導入して各物流センターへの拡大導入を進めるなど、業務プロセスの変革を実現している。今年11月中旬に発表予定の9月期決算の動向が注目される。

■期末配当取りでPBR0.6倍の売られ過ぎを修正し1株純資産水準を目指す

 株価は、世界同時株安が何回も繰り返される全般相場のなかでも1000円台を出没する底固い推移を続けてきたが、今期業績の下方修正とともに年初来安値866円へ200円幅の下ぶれとなった。それでも業績実態面ではPERは19倍台とやや割高のものの、PBRは0.68倍、配当利回りは2.56%と売られ過ぎを示唆している。前日取引時間中には、売られ過ぎ訂正で25日移動平均線にタッチしており、期末配当の権利取り再燃で1000円大台を回復し、1株純資産(1308円)水準を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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