【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスHDは2月安値圏で底打ちして戻り歩調、6月期末一括で3%近辺の高配当利回り

銘柄分析

 医療機器販売のメディアスホールディングス<3154>(JQS)の株価は出直りの動きを強めている。2月の安値圏2300円近辺で底打ちしたようだ。3月31日には2647円まで上伸する場面があった。強基調への転換を確認した形であり、6月期末一括で3%近辺の高配当利回りも注目材料として戻り歩調の展開だろう。

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室業務支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。

 14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。また海外展開は、インドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

 今期(15年6月期)の連結業績見通し(8月11日公表)は、売上高が前期比6.6%増の1556億60百万円、営業利益が同12.5%減の14億円、経常利益が同11.8%減の18億円、純利益が同1.7%増の9億85百万円、配当予想が配当性向25~30%を基本方針として前期と同額の年間80円(期末一括)としている。

 償還価格引き下げの影響、備品類における消費増税の反動影響、首都圏での営業強化に向けた人件費の増加などで営業減益見通しだが、消費増税の反動影響が小さい消耗品の販売は好調であり、営業強化の効果やジオットの新規連結などで増収見通しだ。

 第2四半期累計(7月~12月)は前年同期比2.4%増収、同55.9%営業減益、同40.6%経常減益、同50.4%最終減益だった。医療機関の放射線機器や診断検査装置の更新による備品販売が想定を下回り、営業強化に向けた人件費の増加などで大幅減益だった。ただし消耗品の販売は堅調に推移しているようだ。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円の黒字である。売上高の増加とともに営業損益は改善基調だ。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高46.5%、営業利益19.1%、経常利益26.6%、純利益23.2%と低水準だが、第3四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であり、売上高の増加とともに営業損益が改善基調であることも考慮すれば挽回が期待される。

 中期的には、首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化戦略、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大戦略、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、さらに大量購買による仕入価格低減や業務効率の改善なども寄与して収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると出直りの動きを強めている。第2四半期累計の減額修正を嫌気した2月の安値圏2300円近辺で底打ちしたようだ。3月31日には2647円まで上伸する場面があった。

 4月1日の終値2580円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS313円68銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.1%近辺、そして前期実績PBR(前期実績に増資を考慮した連結BPS2253円06銭で算出)は1.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると、13週移動平均線突破に続いて26週移動平均線も突破した。強基調への転換を確認した形だ。6月期末一括で3%近辺の高配当利回りも注目材料として戻り歩調の展開だろう。

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