【波乱黎明の2019年】カオスの幕開け!テクニカルでは16000円割れも=中西文行

ロータス投資研究所代表、中西文行 氏

テクニカルでは16000円割れに

世界の主要株価指数は、18年11月に過去52週高値から10%以上も下落し「弱気相場」入りを示した。12月17日に新債券王と称されるジェフリーズのガントラック氏は「米国株は弱気相場に入った」と宣言、12月25日には20%以上の下落となり、「弱気相場」の長期化を決定づけた。戻り相場の上値が低く重くなったからだ。

日経平均株価の日足と移動平均線で見ると、下から、日足、5日移動平均、25日移動平均、75日移動平均と並び「逆のパターン」を形成、先安を示し、200日移動平均の傾きもフラットから下向きに変わり、弱気相場の長期化を示している。また、12月の日経平均株価など主要株価指数の月足は「陰線」となった。経験則では、12月が陰線となった場合、翌年1月以降の株式相場は軟調となる。すなわち、18年と同様に1月の月足も陰線となれば、アノマリーでは19年の年足も陰線となり、年末安を示すことになる(日経平均株価18年1月大発会23506円、1月末23098円、大納会の12月末21000円前後)。すなわち、テクニカルでは19年の株式相場は下落となる。

日経平均株価は、値幅で18年年間は約5000円下落、19年は18年よりも世界情勢の悪化により、値幅5000円超下落と想定され、足元の水準から年後半に16000円割れも起こり得る。

このチャート分析を無視、無意味にさせるような日銀のインデックETF購入、異次元金融緩和で下支えられた株価指数は、19年も日銀の緩和政策転換リスクを内包している。19年は4月の統一地方選挙、5月の改元、7月の参議院選挙とイベント豊富だが、日銀は19年3月年度末の株価を警戒(18年3月末:日経平均株価21454円)していよう。多くの金融機関や公的年金などが3月本決算にて多額の株式評価損を計上、決算が悪化するのを予防したいからだ。株価指数のベア型投信などで株価下落に備えたい。

「為替見通し」と悪化する企業業績

まったくのカオスの幕開け、それが2019年。1月9日にサムスン電子、14日ブラックロック、15日JPモルガン・チェース、16日アルコア、ゴールドマン・サックス、17日P&Gなどの決算発表が予定され、株価が12月に急落したGAFA、FANNGと表現された5G基地局、自動運転、人工知能(AI)、クラウドなどハイテクの中核企業、グーグル、アップル、アマゾンなども控えている。12月のモルガンスタレーの予想ではS&P500種の増益率は18年23%から19年は4%に鈍化する。

18年12月30日にTPP11が発効、19年2月1日に日欧EPAが発効し関税率が引き下げられる(即時引き下げは少ない)が、短期的な経済への影響はあまりないだろう。10月の消費税増税を控え、政府の19年度一般会計予算案は、100兆円を突破、国土強靭化、消費税ポイント還元など景気対策のばらまきで、財政再建は遠のきなんのための増税かと不思議である。これらの農業、建設業を含む産業界への影響も不透明である。

18年12月14日の日銀短観12月調査の企業業績見通し(大企業:想定為替レート今下期1ドル109円41銭)では、今上期の経常増益率は円安により前回調査から上ブレたが、今下期の経常増益率は前回調査から大幅に下方修正され減益率が拡大と見込まれていた。設備投資の先行指標、日本工作機械工業会の10月の受注額は前年同月比0.7%減と23カ月ぶりに減少に転じ、工業会では経験上この先、半年から2年に渡り受注は低迷すると警戒していた。10月の消費税増税時には薬価も引き下げられる。

19年1月に日本の景気拡張期間は74カ月と戦後最長の「いざなみ景気(02年1月~08年2月の73カ月)」を抜き、いつ後退局面に入っても不思議はない。戦後の景気循環の後退期間の平均は15カ月であり、これを適用すると20年の東京オリンピック時期に景気後退から抜けるとも見れる。すなわち、株価は経験的に景気に6カ月から1年先行するから、足元の株価下落は、年後半の景気後退を予見している。ディフェンシブストックの公益株で、鉄道、銀行、電力、ガス、情報通信などに安心感がある。

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