ヤマシタヘルスケアホールディングスは急伸、19年5月期配当増額修正を好感

日インタビュ新聞ロゴ

 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。7月4日に19年5月期連結業績予想の修正(売上高、営業利益、経常利益を増額、純利益を減額修正)と配当予想の増額修正を発表し、大幅営業増益・増配となった。これを好感して株価は急伸している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■九州を地盤とする医療機器専門商社

 山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。

 子会社の山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品の販売を展開している。イーピーメディックは整形外科用インプラントの製造販売、トムスは医療機器販売を展開している。

 18年5月期のセグメント別売上構成比は、医療機器販売業99.2%、医療機器製造・販売業0.7%、医療モール事業0.1%である。

 17年9月には光通信<9435>と資本業務提携している。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。

 収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。

■中期経営計画で21年5月期経常利益6億円目標

 中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値に21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げている。

 医療機器販売業では、電子カルテなどの医療情報システム構築支援、合弁事業の医科向け会員ネットワーク「EPARK」の普及拡大、SPD(Supply Processing&Distribution)事業の推進・収益性向上を推進している。医療機器製造・販売業では、台湾の医療機器メーカーと協力して手術器械の単回使用化に取り組んでいる。

■19年5月期大幅営業増益・増配

 19年5月期の連結業績予想は7月4日に修正(売上高、営業利益、経常利益を増額、純利益を減額修正)し、売上高が18年5月期比4.8%増の615億33百万円、営業利益が41.3%増の5億27百万円、経常利益が38.5%増の6億22百万円、純利益が30.5%減の1億53百万円とした。

 売上高は、営業体制の強化や医療機関の設備投資需要回復などにより、計画を上回る増収となった。営業利益と経常利益は増収効果に加えて、山下医科器械における物流センターとSPDセンターの連携強化による物流コスト削減も寄与して、いずれも減益予想から一転して大幅増益となった。純利益は特別損失計上(トムスののれん減損損失2億10百万円)により、計画を下回り減益となった。
 
 配当予想は7月4日に期末16円増額修正して、18年5月期比14円増配の年間40円(期末一括)とした。

 19年5月期は大幅営業増益・増配となった。20年5月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は5月末の株主対象

 株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じてオリジナルクオカードを贈呈する。

■株価は上値試す

 株価は19年5月期大幅営業増益・増配を好感して急伸している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月5日の終値は1458円で、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS60円01銭で算出)は約24倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は約2.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2457円18銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約37億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る