【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリナップは戻り高値圏で堅調、16年3月期増収増益期待で上値試す

銘柄分析

 システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は、戻り高値圏900円~950円近辺で堅調に推移している。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期増収増益期待で14年11月997円、さらに14年3月1045円を目指す展開だろう。

 厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。

 中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」「コルティ」を軸とした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国のショールーム(101ヶ所)への集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、そして海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。

 全国101ヶ所のショールームへの集客を強化するため、リニューアルと生活提案型ショールームへの転換を進めている。3月31日には、14年度は帯広、藤沢、鹿児島、和歌山、新潟の5ヶ所の移転リニューアル、大宮、大阪、岡山、大分の4ヶ所のリニューアルを実施したと発表している。過去4年間では約50ヶ所のリニューアルを実施した。さらに15年4月は石巻、仙台、豊橋の3ヶ所のリニューアルを予定している。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(11月7日に減額修正)は売上高が前々期比6.8%減の1200億円、営業利益が同59.4%減の36億円、経常利益が同62.2%減の32億円、純利益が同73.8%減の13億円、配当予想(5月8日公表)が記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比5.7%減収、同50.0%営業減益、同50.8%経常減益、同67.4%最終減益だった。消費増税に伴う新設住宅着工戸数減少など事業環境が厳しく減収減益で、純利益は厚生年金基金解散損失引当金繰入額の計上も影響した。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)319億24百万円、第2四半期(7月~9月)284億53百万円、第3四半期(10月~12月)288億39百万円、営業利益は第1四半期19億68百万円、第2四半期5億49百万円、第3四半期11億13百万円である。第2四半期がボトムとなった可能性がありそうだ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.4%、営業利益が100.8%、経常利益が107.2%、純利益が108.0%で、利益は通期見通しを超過達成している。新設住宅着工戸数減少など事業環境が厳しく、輸入原材料の価格上昇なども影響して通期も減収減益見通しだが、増額の可能性もあるだろう。

 今期(16年3月期)は消費増税の影響が一巡し、食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功し、原価低減の効果なども寄与して増収増益が期待される。システムキッチンの市場シェアは上昇基調であり、中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、戻り高値圏900円~950円近辺で堅調に推移している。15年3月期の減収減益見通しの織り込みを完了して、16年3月期の増収増益を期待する動きだろう。

 4月15日の終値934円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS30円64銭で算出)は30~31倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を挟んでモミ合う展開だが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなり、26週移動平均線も上向きに転じてきた。強基調へ転換したようだ。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期増収増益期待で14年11月997円、さらに14年3月1045円を目指す展開だろう。

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