【新規上場(IPO)銘柄】ステムリムは9日にマザーズに上場、「再生誘導医薬」という新薬の開発を進める

株式市場 IPO 鐘

 ステムリム<4599>(東マ)は、8月9日に東京証券取引所マザーズに上場した。同社は、創業以来「再生誘導医薬」という画期的な新薬の開発を進めている。「再生誘導医薬」とは、人体が本来備えている組織修復能力を最大限に引き出し、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の組織的再生・治癒を促進することが長年の研究で明らかになっている。従来の再生医療/細胞治療とは異なり、「物質=医薬品」の投与により作用する「再生誘導医薬」は、侵襲性、品質管理、コストなど、再生医療/細胞治療の制約をクリアし、さらに幅広い適応症をカバーできる可能性を秘めているなど、新しい再生医療となり得る存在と言える。


 同社が研究開発を進める「再生誘導医薬」は、新しいタイプの医薬品であり、投与によって患者の体内で誘導される幹細胞が、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異的に集積し、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織に分化する能力を有するため、「再生誘導医薬」という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系疾患など、組織損傷をともなう数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されおり、「再生誘導医薬」は、市場において大きなシェアを獲得し、収益に貢献する見通し。

 足元の業績は、前2019年7月期第3四半期業績実績が、事業収益1億円、営業損益5億0600万円の赤字、経常損益5億0600万円の赤字、最終損益5億0500万円の赤字に着地。

 前19年7月期業績予想は、事業収益1億円、営業損益7億2500万円の赤字、経常損益7億0100万円の赤字、最終損益7億0100万円の赤字を見込む。上場で調達した資金は、研究所や動物実験施設の設立資金、運転資金、人件費等に充てる計画で、年間配当は無配を予定している。

 株価は、8月9日の上場初日に公開価格1000円を7%下回る930円で初値をつけ、13日高値1055円と買われた後、モミ合っている。PJ1(HMGB1ペプチド)は、表皮水疱症(難病指定)を対象としたPh2(医師主導治験)を実施中、脳梗塞、心筋症(虚血性心筋症・拡張型心筋症)を対象とした臨床試験を実施中だが、変形性膝関節症、アトピー性皮膚炎、難治性皮膚潰瘍等への治療効果が期待されており、適応拡大のポテンシャルを有しており、中長期的な視点で注目される。目先1000円割れで下値を固めれば、ディフェンシブ銘柄として上値を伸ばす可能性が高まりそうだ。(株式評論家・信濃川)

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