巴工業の今10月期は収益拡大の助走になり連結売上高は8%増、営業・経常利益など微減を見込む

■中国・太倉の新工場が春節明けにも竣工し上海工場から順次移管

 遠心分離機の大手・巴工業<6309>(東1)は今期(2020年10月期)、中国に建設中の太倉(たいそう)新工場(江蘇省太倉市)の立ち上げに加え、人材投資やIT投資など、将来を展望した戦略的な投資を推進する。このため、連結売上高は447億円(前期比8.1%の増加)を想定する一方、先行投資や償却の増加などにより、経常利益は22.5億円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15.0億円(同4.4%減)を想定する。

 「中国・太倉の新工場は20年2月の春節明けにも竣工する見通し。生産が軌道に乗り次第、30キロほど離れた上海工場の生産を順次移管する。そして、移管が完了したあとは上海工場を閉じる」(山本仁社長)。

 今期は、収益拡大に向けた助走の年になるため、同社に注目する場合は来期以降を展望した視点が肝心といえそうだ。戦略的な投資の中には、商社部門である「化学工業製品販売事業」の新たな商材開発なども含まれている。

■機械事業で大型受注を獲得、利益率の高い『部品/修理』拡大の土台に

 前期・19年10月期の連結業績は、「機械製造販売事業」が増収増益となって全体をけん引した半面、商社部門になる「化学工業製品販売事業」は米中貿易摩擦の影響などにより減収減益となり、連結売上高は前年度比2.4%減の413.55億円、営業利益は前年度比0.1%減の23.76億円となった。

 一方、経常利益は前年度に計上した貸倒引当金の減少や営業外費用の減少などにより同2.1%増の23.84億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益も同3.7%増の15.69億円となった。

 機械製造販売事業では、国内の官公需要で案件の順延や受注の一部取り逃しがあったが、収益性の良い『部品/修理』が海外向けを中心に増収となった。また、海外でPETボトル原料になるテレフタル酸の製造に関連する大型受注を獲得した。

 「この大型受注は欧州企業と競り合って受注したもので、納入時の利益率は高くない。しかし、当社の機械事業の中で利益率が高い『部品/修理』を拡大していくには、まず機械を納入しないと部品にも修理にもつながらない。こうした戦略的な施策は後々成果に結びついてくる」(山本仁社長)。

 今期・20年10月期は、機械製造販売事業で、海外を中心に全分野が伸びる見通しとし、前期ふるわなかった国内官需向け装置・工事も拡大に転じる見通しとした。また、化学工業製品販売事業では、紫外線硬化樹脂や、半導体製造装置向けの機能材料分野や電子材料が半導体市況の回復とともに伸びる見通し。

 連結業績予想は、売上高を447億円(前期比8.1%増)、営業利益を22.5億円(同5.3%減)、経常利益も22.5億円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15.0億円(同4.4%減)とした。予想1株利益は150円33銭。(HC)

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