【株式評論家の視点】シャノンは4期ぶりに最高益更新へ、換金売り一巡で押し目買い

株式評論家の視点

 シャノン<3976>(東マ)は、2017年1月27日に東京証券取引所マザーズ市場に上場してから、早3年が経過しようとしている。同社は、ミッションとして『テクノロジーとサイエンスにもとづくマーケティングによって、顧客の市場拡大化と利益最大化を実現し、企業のより創造的な活動に献します』を掲げ、ビジョンでは『マーケティング課題を解決する』することを重要視している。

 「シャノンマーケティングプラットフォーム」という1つのクラウドサービスを、主に「マーケティングオートメーション(MA)」と「イベントマーケティング(EM)」の2つのサービスとして提供している。また付随して、マーケティングコンサルティング、BPO(運営代行)、導入サービスを提供している。国内における導入実績数は900以上、キャンペーン実績数は220,000以上で、「シャノンマーケティングプラットフォーム」の利用により、業務効率化や商談化率向上など企業の課題を解決している。


 「マーケティングオートメーション(MA)」とは、見込客および既存顧客から商談を獲得するために実施する、オンライン/オフラインのマーケティング活動全般を統合管理して、顧客企業が商談を獲得するために最適なコミュニケーションを自動化する手法、およびそれを可能にするプラットフォームをいう(シャノンによる定義)。

 「イベントマーケティング(EM)」とは、事前準備から事後のフォローまでのプロセス全体を統合的・効率的な運用を可能にし、単なるイベント開催だけに終わらせず、戦略的なイベント活用を実現するサービスとなっている。

 足元の業績は、前2019年10月期業績実績が、売上高18億5500万円(前の期比2.9%増)、営業損益3600万円の黒字(同3100万円の赤字)、経常損益2600万円の黒字(同3000万円の赤字)、最終損益2400万円(同3100万円の赤字)に着地。収益性の高いMA-サブスクリプション(中長期の収益基盤)が、計画比104.1%、前の期比では120.5%と伸長。また、業務の効率化等に伴い人件費や採用費が計画より抑えられたこと等から各段階利益(売上総利益を除く)は、計画を大きく上回る黒字だった。

 今20年10月期業績予想は、売上高19億5000万円(前期比5.1%増)、営業利益5000万円(同36.4%増)、経常利益4600万円(同73.2%増)、純利益4000万円(同62.5%増)と4期ぶりに最高益更新を見込む。「マーケティングオートメーション(MA)」は、引き続き収益性の高いMA-サブスクリプション(中長期の収益基盤)の売上増を予想している。一方、「イベントマーケティング(EM)」は、「EM」に含まれる「イベントプロデュース関連売上」については、縮小していく方針だが、イベント(システム支援、会期当日支援)については、納品体制の強化等を図り伸長を予想している。年間配当は無配継続を予定している。

 株価は、2018年12月安値849円から19年2月高値1843円と上昇。1200円どころを下値としたモミ合いを上放れし、同12月16日に昨年来の高値2116円と買われた後、同24日安値1562円と下げて切り返す動きとなっている。年度末に伴う換金売りが一巡。前19年10月期業績は利益計画を上回り好調で、今20年10月期は4期ぶりに最高益更新を見込む。押し目買い優位に上値を伸ばすと予想する。(株式評論家・信濃川)

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