【忠田公夫の経済&マーケット展望】 グローバル金融相場頓挫の可能性、DAX指数と独10年国債の動見極めが重要

忠田公夫の経済&マーケット展望

昨年10月末の日銀による追加緩和に続き、今年3月のECBによる量的緩和の実施を背景に、空前のグローバル金融相場が巻き起こった。

終値ベースで捉えると、NYダウは昨年10月16日の1万6117ドルから今年3月2日の1万8288ドルまで13.5%の上昇。日経平均は同10月17日の1万4532円から同4月23日の2万187円まで38.9%の上昇。独DAX指数は同10月15日の8571ptから同4月10日の1万2374ptまで44.4%の上昇を示した。

今回のグローバル金融相場のリード役は株式市場では独DAX指数であり、債券市場では独10年国債であった。独10年国債の金利は昨年9月末、0.9%程度で低下基調にあったが、年明け以降トレンドを一段と強め、1月6日に0.44%、2月2日に0.27%、3月11日に0.17%、そして4月17日には一時0.049%という未曽有の超低金利を示現した。

この直後に、かつて債券王の異名をとったこともあるビル・グロス氏が、「独10年国債は空売りのチャンス」と発言。相前後して、ユーロ圏の4月の消費者物価上昇率が前年比ゼロ%となり、5カ月振りにマイナス域を脱したことが明らかとなるとともに、ドイツの消費者物価上昇率もプラス0.3%に好転。欧州のデフレ懸念が一気に和らぎ、独10年国債の金利は5月7日には一時0.75%まで急騰(国債価格は急落)した。つれて、DAX指数は4月10日の1万2374ptを高値に5月5日には1万1327ptまで1000pt余り急落した。

4月から5月にかけてのDAX指数と独10年国債のピークアウトは今回のグローバル金融相場の流れが頓挫したことを示唆している。ただ、ヘッジファンドなど短期筋のポジション調整が終了したかどうかはまだ判然としない。週明けは4月の米雇用統計の内容が3月分から改善したことで、日本株はこれを好感、反発して始まるだろう。当面はDAX指数と独10年国債の動きを見極めながら、個別銘柄の決算を吟味しつつ投資戦略を組み立てるのが望ましい。(アナリスト忠田公夫)

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