欧州経済見通しに明るさで日米とも高値挑戦へ、日本株は配当取りの動き強まる=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 来週は、テロ拡大の悪材料がなければ、NYダウ、日経平均とも高値に挑戦する展開だろう。

ECB(欧州中央銀行)は月額600億ユーロ(約8兆円)の国債等を買上げる、金融の量的緩和を決めた。量的緩和では先輩格のアメリカ、日本とも景気回復、株価上昇の成果に繋がっているだけにヨーローパの景気に対する期待は強い。

ユーロの場合、1カ国でなく19カ国の集合体という政策運営の難しさから直ちに景気が上向くかどうかは疑問だが、少なくともデフレ進行は止めることができるだろう。効果が期待できなければ、アメリカが量的緩和を3回、日本も2回やったごとくヨーロッパも2度、3度と緩和があるだろう。いったん、始めた政策は簡単に途中で取りやめとなることはない。

足元ではユーロ安だが、一方では当然、景気回復を期待した動きも予想される。中国、新興国等は欧州向け輸出の回復が期待され、世界景気が上向くことでアメリカ、日本の製品・サービスの取引拡大にも結びつく。経済活動が好転すれば原油相場にもプラスに作用し、世界経済攪乱要因が薄れるものとみられる。

ただ、世界景気に明るさがみられるようになれば、アメリカの政策金利引き上げが早まる可能性はあるだろう。

当面、欧州の量的緩和を好感する相場が先行する展開だろう。NYダウは昨年12月26日の最高値(場中)1万8103ドル、日経平均は昨年12月8日の昨年来高値1万8030円をそれぞれ目指すものとみられる。

ただ、日本は2月にGDP10~12月分の発表を控えていることや、3月期決算対策で法人筋の売りが予想されるためNYダウに比べるとやや動きは鈍くなる可能性はあるだろう。

物色は、たとえばマザーズの昨年来高値更新が非常に少ない状態で個人の小型銘柄に対する回転と物色意欲は大きく低下している。これに比べ東証1部の新高値銘柄は連日80~90社と高水準が続いている。

これは、物色人気の底流に配当・優待狙いの強まっていることがある。小型系銘柄より1部市場の銘柄において増配や自社株買い銘柄の多いことから値幅狙いより利回り買いが活発となっている。

3月決算に向かい、例年以上に今年は配当狙いが活発となりそうだ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■離職率低下と顧客満足向上を実証、省人化潮流に逆行する人材重視戦略  「丸亀製麺」主力のトリドール…
  2. ■ビーム整形と出力平準化技術を融合し大気揺らぎを克服  NTT<9432>(東証プライム)と三菱重…
  3. ■航続距離650キロを実現、日野が新型FCV大型トラック投入  日野自動車<7205>(東証プライ…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る