川崎近海汽船の20年3月期連結決算は内航部門が牽引する形で営業減益率が大きく改善

■米中貿易摩擦あったが鋼材などの輸送量は増加

川崎近海汽船<9179>(東2)の2020年3月期の連結決算は、米中貿易摩擦による運賃市況の低迷に新型コロナウイルス流行の影響が加わり、売上高は前期比3.1%減の443.37億円となった。

■フェリーは新型コロナウイルスの影響大だが前年度並みを確保

 一方、収益面では、近海部門が赤字となったものの内航部門が2ケタ増益を確保。連結営業利益は同4.6%減の19.13億円となり、19年3月期の20.9%減に比べて減益率が大きく改善した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の固定資産売却益の反動減や有価証券評価損の計上などにより同19.2%減の13.70億円となった。

■近海部門は米中貿易摩擦の影響などで市況改善に至らず

 近海部門では、主に鋼材、合板、バイオマス発電用燃料、ロシア産の石炭などを輸送している。鋼材は米中貿易摩擦による経済停滞の影響を受けたが、スポット配船などに注力したことで、輸送量は前期を上回った。バイオマス燃料の輸送量は前年並み。ロシア炭は航海数の減少により前期をやや下回った。中国経済の減速などにより市況改善に至らず、近海部門の売上高は前期比8.0%減の119.35億円となり、営業損益は、市況の下落を受けて3.50億円の損失となった。

 一方、内航部門は、北海道航路で紙製品の輸送量減少や水産品の減少などがあったものの、九州と本州を結ぶ「清水/大分航路」では、期初に運航船の入れ替えを実施したことなどで輸送量が大幅に増加した。また、フェリー輸送は、新型コロナウイルスの流行拡大により、年明け以降は旅客需要が急減したものの、期初から第3四半期までは好調に推移し、通期では前年度並みになった。また、内航部門の売上高は前期比1.2%減の303.39億円となり、営業利益は一部船舶での耐用年数の変更等による減価償却費の減少などにより同14.8%増の20.85億円と2ケタの増益率を確保した。

 内航不定期輸送も、国内の鉄鋼向け石灰石専用船などが概ね安定した稼働を続けた。

 OSV部門(オフショア支援船事業)は、海底鉱物資源の探査業務やCCS(二酸化炭素の回収・貯留)関連の調査業務などを行い、南海トラフの掘削支援業務での地球深部探査船「ちきゅう」のサポートや、日高沖基礎試錐では掘削リグに対するサプライ等の支援を行った。各船とも高稼働を維持したことから、OSV部門の売上高は同0.8%増の20.59億円となり、営業利益は同20.1%増の1.77億円となった。

■今期の連結業績見通しは現時点では未定としたが効率配船など推進

 今期・21年3月期の連結業績見通しは、新型コロナウィルスの世界的な流行拡大は現在も続いており、その収束時期は見通せず、フェリー客の予約の落ち込みが顕著になっているなどのため、現時点では未定とした。

 ただ、近海部門では、船隊規模の適正化や効率配船に努めるほか、内航部門では、3月までの「宮古/室蘭航路」を4月から「八戸/室蘭航路」として運航を開始するなど、陸上トラック輸送業界などの取り込みを拡大する戦略を講じている。(HC)

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