【編集長の視点】クレスコは小幅減益予想も下期回復に純利益の連続最高更新を手掛かりに3連騰

クレスコ<4674>(東1)は、前日11日に前場寄り付きの1313円安値から切り返し、47円高の1480円と高値引けし3営業日続伸した。前週末8日に3月期決算を発表し、今2021年3月期業績を小幅減益転換と予想、市場コンセンサスを下回ったことから朝方は目先の利益を確定する売り物に押された。ただ朝安後は今期業績は、新型コロナウイルス感染症の拡大で上期に企業のIT投資が影響を受けるとして慎重に予想、下期回復型の業績ガイダンスになっており、さらに純利益そのものは連続の過去最高更新と予想したことを手掛かりに割安修正の押し目買いが再燃した。テクニカル的にも、1カ月半にわたる25日移動平均線での三角保ち合いが最終局面にあるとして、買い手掛かりとなっている。

■クラウド事業分野も取り込み下期営業利益は上期予想比34%増

 同社の今2021年3月期業績は、売り上げ400億円(前期比1.7%増)、営業利益34億円(同4.4%減)、経常利益36億円(同3.0%減)、純利益24億500万円(同1.2%増)と予想され、営業利益と経常利益は、リーマン・ショックの影響を受けた2010年3月期以来、11期ぶりに小幅減益転換する。今期業績の伸び悩みは、新型コロナウイルス禍により製造業、非製造業とも企業のIT投資の減速感が強まるとしていることが要因で、とくに今期第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績は、受注減が発生するとして営業利益を前年同期比16.0%減、経常利益を同18.3%減、純利益を同8.7%減と厳しく見込んでいる。

 ただ2020年3月末の受注残は前々期比2.3%増と続伸、受注高も今期第3四半期から徐々に回復し、さらに4月1日に子会社化したエニシアスのGoogle Cloudの構築支援などのクラウド事業分野を取り込むことなどから下期業績の回復を見込んでいる。営業利益は2Q累計予想業績比34.4%増、経常利益は同32.2%増、純利益は同35.5%増と急回復する。なお純利益は、通期で続伸し、連続して過去最高を更新する。

■PER11倍の割安修正で25日線水準の三角保ち合いを上放れ

 株価は、株式分割(基準日・今年1月31日、1株を2株に分割)の権利落ち後に新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安が波及して分割権利落ち後安値1007円へ突っ込んだ。同安値からは売られ過ぎとして底上げ、1497円まで48%高して25日移動平均線を固める三角保ち合いを続けてきた。折からの決算発表では、今期予想を未定とする銘柄が多いなか、しっかり業績ガイダンスを出したことはポジティブに働き、しかもPERは11倍台と割安であり、分割権利落ち後高値2034円を目指し三角保ち合いを上放れよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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