【忠田公夫の経済&マーケット展望】円相場は200日線とのカイリ率が15.3%に拡大、昨年5月のカイリ率17.6%に接近

忠田公夫の経済&マーケット展望

10月31日、FRBがQE3を終了するタイミングで、日銀はETFやREITを従来の3倍買い入れるサプライズ緩和に打って出た。

日米のマネタリーベース比率で見たFRBと日銀の緩和度の違いは浮き彫りとなり、ドル高円安の流れは、この10月31日の午後、日銀の追加緩和のニュースが流れた109円30銭処から一気に加速した。

さらに11月17日に、わが国の7-9月期GDPの速報値が年率―1.6%と判明。この結果、今年4-6月期に続き2四半期連続でマイナス成長(一般的には景気後退と見なす)に陥ったのだ。日本経済の需要と潜在的な供給力との差を示す需給ギャップは、7-9月期にマイナス2.7%になったと見られ、年率換算で約14兆円の需要不足になったと試算される。

アベノミクスの最大の目的はデフレからの脱却であり、日本経済の再生を果たし、財政を再建することにある。この需給ギャップの悪化は下手をすればデフレへの逆戻りになりかねず、この段階で消費再増税の選択は完全に無くなり、安倍首相は今後の経済の舵取りについて国民に信を問う判断を示した事は正しいと言えよう。

9月8日付けで「わが国経済の行く末を決める非常に重要な局面に位置している」と記したが、その後の日銀と安倍首相の対応は誠に時宣にかなった判断と高く評価したい。

先週末の米・雇用統計の内容が良かったことで1ドル121円台に入り、CME日経平均先物が1万8045円で終了し、マーケットは今回の両者の判断を好感している。この意味でも12月14日の国民の審判(与党の獲得議席数)は非常に重要だ。

ドル円については短期的に円安が加速したため、テクニカル的には200日線とのカイリ率が15.3%に拡大してきた。昨年4月4日の日銀による異次元緩和の後、5月22日にかけて円安が加速し、200日線とのカイリ率が17.6%まで拡大した後、調整に移行した経緯があるだけに年末にかけての動向は要注意。(アナリスト)

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