システムサポートは調整一巡、21年6月期増収増益予想で1Q順調

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 システムサポート<4396>(東1)は、データベース関連・クラウド関連・ERP関連のソリューション事業を主力としている。21年6月期増収増益予想としている。第1四半期は前年の消費増税前駆け込み需要の反動などで売上高が横ばいにとどまったが、原価率が改善して大幅増益だった。第1四半期が順調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は水準を切り下げる形でやや軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■ソリューション事業が主力

 データベース関連・クラウド関連・ERP関連サービスなどのソリューション事業を主力として、データセンターサービスやシステム保守・運用などのアウトソーシング事業、パッケージソフト開発・販売などのプロダクト事業も展開している。

 20年6月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比は、ソリューション事業が83%、アウトソーシング事業が13%、プロダクト事業が4%、その他が0%、売上総利益構成比はソリューション事業が76%、アウトソーシング事業が15%、プロダクト事業が9%、その他が▲0%だった。

 主力のソリューション事業は、Oracleデータベースの設計・構築・保守・運用などのデータベース関連サービス、AWSやAzureの基盤構築・導入・移行支援などのクラウド関連サービス、SAPの導入・保守・運用などのERP関連サービス、およびITシステム開発を展開している。

 収益力向上に向けてストック収益のプライベート型クラウドサービスを拡大するため、地震の少ない金沢市にデータセンターを設置し、プロダクト事業では自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡販を推進している。また米国シリコンバレーに子会社を設立し、最先端のIT技術・サービスの発掘に努めている。

 20年9月には建築業向け工事管理システム「建て役者」について、弁護士ドットコム<6027>のWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」と連携する新オプション機能の提供開始を発表した。20年10月には、米国ServiceNow社の危機対応管理アプリとLINE<3938>のコミュニケーションアプリ「LINE」を連携するアプリを開発し、提供開始した。

■データベース領域やクラウド領域での高い技術力が強み

 データベース領域やクラウド領域での高い技術力を強みとしている。

 データベース領域では、Oracleデータベース技術者に対する最高峰の認定資格ORACLE MASTER Platinum保有者数が国内累計3位、単年2位(18年8月時点)である。また19年度のORACLE Cloud Platform(PaaS/IaaS)認定資格取得数が国内1位となり、ORACLE Certification Awardを受賞した。

 クラウド領域では、米アマゾン社のクラウドサービスAWSに関して、AWSコンピテンシープログラムでOracleコンピテンシーを取得している日本企業のうちの1社である。さらに米マイクロソフト社のクラウドサービスAzureに関して、Gold Cloud Platformパートナーに認定されている。

 20年11月にはマイクロソフトのパートナープログラムにおいてAdvanced Specializationを取得した。また金沢市および日本マイクロソフトとの三者で、クラウドを活用した地域活性化に関する連携協定を締結した。

■21年6月期増収増益予想で1Q順調

 21年6月期連結業績予想は、売上高が20年6月期比7.2%増の143億42百万円で、営業利益が5.8%増の7億98百万円、経常利益が10.3%増の7億85百万円、純利益が15.3%増の5億18百万円としている。配当予想は20年6月期と同額の10円(期末一括)である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比0.1%増の32億77百万円で、営業利益が14.3%増の2億02百万円、経常利益が32.3%増の2億04百万円、純利益が34.4%増の1億36百万円だった。原価率が改善して大幅増益だった。

 ソリューション事業は前年の消費増税前駆け込み需要(機器やライセンスの販売)の反動などで0.6%減収だが、クラウドサービス利用支援分野の受注が好調に推移し、生産性向上効果で原価率が改善して6.2%増益だった。アウトソーシング事業は1.7%増収で4.6%増益だった。データセンター業務が堅調に推移したが、データ入力・分析業務の減少で伸び率がやや鈍化した。プロダクト事業は8.0%増収だが7.0%減益だった。前年の高利益率の大型カスタマイズ案件の反動で減益だった。

 通期ベースでも需要が引き続き堅調に推移する見込みだ。新型コロナウイルスの影響については、顧客の業績によってはIT投資予算の縮小やプロジェクトの延期などが見込まれるものの、特定顧客への依存度が低いため当該影響は軽微としている。

 重点施策として、ソリューション事業においてはデータベースおよびクラウド基盤関連の強化、米国発の企業向けクラウドサービス「ServiceNow」導入・利用支援の強化、ストック収益となるデータセンターの稼働率上昇、自社プロダクトの販売強化などを推進する方針だ。第1四半期が順調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(20年6月1日付で株式2分割)は水準を切り下げる形でやや軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。11月27日の終値は1504円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円32銭で算出)は約30倍、今期用配当利回り(会社予想の10円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS239円45銭で算出)は約6.3倍、時価総額は約155億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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