TACは21年3月期3Q累計増益、通期大幅増益予想据え置き

(決算速報)
 TAC<4319>(東1)は2月5日の取引時間終了後に21年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。資格試験延期や教室講義中止など新型コロナウイルスの影響で減収だが、原価低減や販管費抑制の効果で増益だった。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は昨年来高値を更新した。第3四半期累計業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■21年3月期3Q累計は減収だが増益、通期大幅増益予想据え置き

 21年3月期第3四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比4.9%減の146億94百万円(前受金調整前の現金ベースは6.2%減の147億90百万円)、営業利益が3.6%増の5億41百万円、経常利益が13.0%増の7億01百万円、純利益が64.6%増の4億77百万円だった。

 売上面では出版事業が伸長したが、個人教育事業および法人研修事業が新型コロナウイルスの影響(大学の休校、各種資格・検定試験の延期・中止、教室での講義の中止、研修の縮小や実施延期・中止など)を受け、全体として減収だった。しかし出版事業の伸長、原価や販管費の抑制、返品調整引当金戻入の計上などで増益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が51億05百万円で営業利益が5億12百万円、第2四半期は売上高が50億39百万円で営業利益が3億94百万円、第3四半期は売上高が45億49百万円で営業利益が3億65百万円の赤字だった。講座申し込みは期前半に集中するが、営業費用は毎月一定額を計上するため、利益は期前半に集中し、下期は赤字となる収益特性がある。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が20年3月期比0.1%増の203億50百万円、営業利益が4.3倍の6億90百万円、経常利益が2.6倍の6億84百万円、純利益が4.0倍の4億10百万円としている。

 売上面は通期ベースでも新型コロナウイルスの影響を受けるが、講師料、教材制作外注費、賃借料など原価・販管費の削減効果で大幅増益予想としている。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は昨年来高値更新

 株価は順調に水準を切り上げて昨年来高値を更新した。第3四半期累計業績を評価して上値を試す展開を期待したい。2月5日の終値は274円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS22円16銭で算出)は約12倍、時価総額は約51億円である。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る