【どう見るこの相場】ようやく新年度モード?!昨年来高値を更新中の割安株は業績相場へ先駆け期待

どう見るこの相場

ようやく新年度モードとなるかもしれない。日経平均株価は、4月の新年度入り後に3万円の大台に突っ掛けては撃退され売買代金も縮小気味だったが、上値にトライする4月入りの新年度らしい投資マインドになりそうだ。前週末9日に米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、4月5日以来の最高値を更新し、米10年物国債利回りの1.6%台と低下しており、今度こそである。もちろん新型コロナウイルス感染症の感染急増に対応してまん延防止等重点措置の適用が3府県から東京都など6都府県に拡大されており、この綱引きがプラスとなることが前提にはなる。

このマインド変化は、「神は細部に宿る」ではないが、マーケット内部の小さな動きからも読み取れそうだ。新高値銘柄の動向である。新年度入りとともに新高値銘柄は、増加するのが毎年の恒例である。「新年度マジック」ともいうもので、高値更新の基準日が3月31日を境に変わるからだ。3月31日までは、昨2020年1月6日以来の高値を上回ったかどうかで高値更新が判定される。対して今年4月1日以降は、今2021年1月4日以降の高値が比較基準の年初来高値となる。3月31日までは、パンデミック前の昨2020年年初の高値も比較対象となりいわば天井が高いのに対して、4月以降は、相対的に天井が低くなる。

この「新年度マジック」通りに、東証第1部の新高値銘柄は、年度末の今年3月31日の42銘柄が、新年度入りの4月1日に64銘柄と5割増となり、その後も78銘柄、106銘柄、76銘柄、81銘柄、61銘柄と続き、前週末9日には96銘柄と増えた。それほど驚くような増加ぶりではないが、昨2020年は、3月31日の18銘柄が、コロナ・ショック安の渦中で4月1日に6銘柄に減少したのと比べると様変わりである。

しかも「新年度マジック」にやや変化が兆した。日経平均株価が、取引時間中に3万208円をつけた4月6日の高値更新銘柄は76銘柄を数えたが、このうち昨年来高値更新銘柄は42銘柄で、残り34銘柄は年初来高値の更新銘柄となった。いわば全体の44%の34銘柄は、新年度マジックにより年初の調整安値から出直ったということになる。ところが前週末9日は、年初来高値を更新した96銘柄のうち、年初来高値更新銘柄は32銘柄にとどまり、昨年来高値更新銘柄が64銘柄に達した。昨年、今年に新規株式公開された2銘柄を除くと昨年来高値更新銘柄のウエートが68%に高まってきた。これは昨年来、コロナ禍でも健闘してきた逆行高銘柄が、これから本格化する本決算、四半期決算への期待も高め、粘り腰、強腰を取り戻し、業績相場への期待を高めている裏返しとも評価されるものである。

そこで今週の当特集では、この昨年来高値更新銘柄に注目することとした。当特集として若干不本意な「勝ち馬につく」高値で仕込む順張りスタンスで、ことによると高値掴みとなるリスクがないとはいえない。そこでこの銘柄のうちでも、PER評価から割安で、しかもこれまで業績を上方修正した銘柄に限定することとした。上方修正銘柄限定は、これから予定される本決算や四半期決算の発表で、さらに業績が上ぶれるか、それとも反動減となるか二つに一つの可能性があるが、仮に反動業績になっても低PER株なら下値は限定的と想定されるからだ。

このセレクト基準をクリアした4月6日と9日に昨年来高値を更新した銘柄は、27銘柄を数えており、業種やテーマ性、値ごろもバラエティに富み、さらに増配、自己株式取得、株式分割などの株主還元策も予定している銘柄も多いだけに業績相場の先駆け株として活躍場面が期待できそうだ。

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