【どう見るこの相場】スパン2年の株価予見性では社名変更の割安株に「第2のレゾナック」の可能性

■サマーラリー目前!投資家は今こそ2年スパンで考えるべき

 「株価は半年先を予測する」といわれる。株価の予見性である。生成AI(人工知能)ブームの先行きも金融当局の金融政策も地政学リスクも、これからスタートする決算発表も、さらには米国の大統領選挙の動向までも織り込んで現在只今の株価が形成されており、日経平均株価は4万円、ニューヨークダウ工業株30種平均(NYダウ)は4万ドルとともに史上最高値まで買い進まれた。ただたまには、予見性の想定外の事態に巻き込まれることがある。

 3連休前の前週末12日の日経平均株価の1033円安の今年最大の急反落が、まさにこれで「青天の霹靂」、梅雨空の集中豪雨であった。7月11日に発表された米国の6月の消費者物価指数が、市場予想に反してマイナスとなり長期金利が低下した途端に為替相場が、1ドル=157円台と円高・ドル安に振れ、ハイテク株を中心に主力株にリスク回避売りが殺到したことが引き金となった。この為替変動は、政府・日銀が3兆円規模の円買い介入をしたためと観測されており、続く12日の米国市場でも2日連続の介入と伝えられた。

 この大幅下落が、一過性の乱気流かそれとも想定外のテールリスクの予兆でトレンドが転換して予見性の見直しを迫るものか即断を迫まられてアワを食った投資家も少なくない。株価予見性の「予見倒れ」かもしれない。ただ転んでもタダでは起きない目敏い向きが、途端に東証プライム市場で値上がり数が値下がり数を上回り、規模別株価指数では小型株指数が、大型株指数をオーバーパフォームしたことを手掛かりに内需系の小型株シフトに舵を切った動きも出た。しかも、3連休中の14日にはトランプ大統領候補への銃撃事件までニュース速報された。7月相場はまだ月央、サマーラリーは急に忙しくなってきたようである。

 この株価予見性では、もう少しスパンを長く取り2年程度とする方法もある。リスク回避には時間分散の教えもある。スパンが長くなれば、目先の乱高下に振り回される一喜一憂も軽減される。この2年スパンの株価予見性のカタリスト(株価材料)として注目したいのが社名(商号)変更である。例えばレゾナック・ホールディングス<4004>(東証プライム)は、株式公開買い付けした旧日立化成との事業統合会社化により2023年1月に旧社名の昭和電工から現社名に社名変更した。業績は2023年12月期の赤字業績が、2024年12月期は黒字転換が予想され、その黒字幅が拡大する上方修正ペースで推移している。またこの時の株価2020円から今年4月には4000円と水準を上げ株価は倍化しており、足元では3700円台へ調整しているが、株価人気的には半導体の微細化のカギを握る「後工程」の半導体材料の世界トップ企業としての評価を高めている。

 東証の集計によれば、2005年以降、今年7月1日までで社名変更会社は894社を数える。この社名変更は、事業構造改革や経営統合、事業持株会社化などのコーポレーションアクションやブランド名の社名化、グローバル展開に備えたアルファベット表記への変更などさまざまな要因が働いており、なかには1社で4回も社名変更するケースもあった。しかもこの7月以降も社名変更予定会社は目白押しで、2026年1月1日に八十二銀行<8359>(東証プライム)は、「八十二長野銀行」に行名変更を予定している。

 こうした社名変更会社からの「第2のレゾナック」が誕生すれば、2年スパンの株価予見性の有効性が証明されることになる。そのためにも今年1月以降の社名変更後の株価反応度がまだ小幅にとどまり、投資採算的にも割安な銘柄が第1候補となる。また今後、社名変更を予定し、同じく割安水準にいる銘柄にも評価余地があり、注目は怠れない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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