強気派と弱気派が棲み分けの混在相場では出遅れ日経225銘柄の個別物色も一考余地=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

日経平均株価の連続上昇記録が、12日でストップしてから、株価の上値が重くなり、方向感が不確かとなり膠着感を強めている。強気と弱気が交錯し、利益確定売りと押し目買いが綱引きしているためだ。強気派の代表は、もちろん外国人投資家で、円安・ドル高進行に伴う業績上ぶれ期待、自己株式取得などの株主配分策を評価し、これに売り向かった弱気派の個人投資家は、米国FRB(連邦準備制度理事会)の利上げや、ギリシャの債務問題の交渉難航などを嫌い、主力株を売って出遅れ株シフトを強めるともに、国内要因だけで動く東証第2部市場などへ物色の矛先を向けた。

とくに東証2部総合指数は、日経平均株価が、12営業日続伸して15年2カ月ぶりの高値をつけた後、高値圏の小動きで売買代金も縮小しているのを尻目に、前週末5日は高値引けで続伸し9年超ぶりの高値更新となった。この相反する株価推移の結果、どのようなことが起こったかといえば、日経平均株価が、東証2部株価指数に遅れをとることになった。これは、前週末現在のPER評価でみれば明らかである。PERを基準にすると、東証第2部総合株価指数が、17.63倍なのに対して日経平均株価は、16.49倍にとどまり、PBR評価では、東証2部の1.02倍に対して1.41倍と割高なものの、東証第1部全銘柄の1.50倍に対しては割り負けることになっている。

 これは、日経平均株価を構成する225銘柄を個別銘柄ごとに精査するとさらに明らかになる。低PERで低PBR、さらに高配当利回りの銘柄がゴロゴロしているのである。今3月期業績が、期初段階特有の慎重予想から市場コンセンサスを下回っていることや、決算発表時にブームとなった自己株式取得などの株主配分策に乗り遅れ、さらに前期業績が減損損失計上で赤字転落、今期業績の黒字転換を予想しているものの、業績信頼性が低いことなどと銘柄周辺に何らかの難があるからにほかならない。

もちろん、この出遅れ日経225銘柄が、市場平均並みの株価評価を受けるには外国人投資家の投資姿勢や円安・ドル高の先行き、さらに今期第1四半期の業績推移などがポイントとなる。しかし、PBRが、解散価値の1倍台を下回り、なお低PERに甘んじ、配当利回りも市場平均を下回る銘柄は、自律的な株価修復の期待は大きく、強気派も弱気派も等しく買い姿勢を強める展開が想定されるはずだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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