【株式評論家の視点】中村超硬は産業確信機構の保有株売却で需給の重し取れ上値追い、今期2ケタ増益

株式評論家の視点

中村超硬<6166>(東マ)は、6月24日に東証マザーズに上場。特殊精密部品の設計・製造・販売、切削冶工具の設計・製造・販売、ダイヤモンドワイヤの製造・販売を手掛けている。

主力事業である、電子材料スライス周辺事業は、太陽電池やLEDに用いられる電子材料のスライス加工に不可欠な切断用工具であるダイヤモンドワイヤ(糸状の刃)、中村超硬の数々の独自技術が盛り込まれている「DINA-PRISM」を開発し、製造・販売を行っている。低コスト高性能化をもたらした世界最速のダイヤモンドワイヤ製造システムは、太陽光パネルやLEDなどの成長分野の拡大に大きく貢献したとして、2012年の「第4回 ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞」を受賞している。

特殊精密機器事業では、硬脆材料の超精密加工技術を基盤に、焼結ダイヤモンド(PCD)や超硬合金、セラミックスなど高硬度材料を用いた耐摩耗性の高い長寿命部品の製造を行っている。高硬度材料のミクロン単位の超精密加工に強みがあり、ロー付け技術、熱処理技術、電気加工技術、研削加工技術などの特殊なものづくり領域のコア技術を有している。

化学繊維用紡糸ノズル事業は、子会社の日本ノズル株式会社が合成繊維用・化学工業用各種ノズルおよび精密付属部品や不織布関連装置および精密機器などを製造している。繊維業界はもとより電子部品 船舶 自動車部品 医療業界といった幅広い分野での日本ノズルブランドが活躍している。

前2015年3月期業績実績は、売上高が51億2300万円(前の期比41.6%増)、営業利益が8億1900万円(同3億7300万円の赤字)、経常利益が9億2600万円(同4億1500万円の赤字)、純利益が1億7700万円(同4億2300万円の赤字)に着地。

2016年3月期予想は、売上高が66億7400万円(前期比30.3%増)、営業利益が9億6400万円(同17.7%増)、経常利益が10億1700万円(同9.8%増)、純利益が9億4300万円(同12.4%減)を見込んでいる。配当については、将来の事業拡大に向けた内部留保の充実及び財政基盤の強化を優先し、今期及び次期の配当についても無配を予定している。

6月24日の上場初日は、公開価格の1700円を201円(11.8%)上回る1901円で初値をつけた。同25日高値2548円と上昇している。24日に産業革新機構が全保有株83万株を売却したことが分かったことで、需給面の重しが早期になくなったことで値動きが軽くなっている。主要マーケットである太陽電池市場は中国を中心に拡大傾向であるほか、シリコンインゴットのスラ イス工程が、細線化に伴うコスト減や環境への配慮を理由に、今後も遊離砥粒方式からダイヤモンドワイヤを使用する固定砥粒方式へ移行することが見込まれるため、成長が続くと期待される。無配継続見通しだが、今期予想PER9倍台と割安感があり、上昇基調が強める可能性はありそうだ。(株式評論家・信濃川)

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