ゼリア新薬工業は22年3月期2Q累計大幅増益、自己株式取得も発表

(決算速報)
 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は11月4日の取引時間終了後に22年3月期第2四半期累計連結業績(11月1日に上方修正)を発表した。欧州の医療用医薬品事業が好調に推移し、為替差益も寄与して大幅増益だった。通期も大幅増益予想としている。為替差益を見込んでいないため再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。なお自己株式取得(上限80万株・18億円)も発表した。株価は反発力の鈍い形だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計大幅増益、通期は再上振れの可能性

 22年3月期第2四半期累計連結業績(収益認識基準適用、11月1日に売上高を下方、利益を上方修正)は、収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が12.1%増の286億06百万円、営業利益が67.2%増の26億72百万円、経常利益が138.4%増の31億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が52.4%増の21億15百万円だった。

 従来予想を上回る大幅増益だった。コロナ禍の影響でコンシューマーヘルスケア事業の低迷が続いたため、売上高は従来予想を若干下回ったが、20年11月に製造販売権を承継したディフィクリアをはじめとして、欧州の医療用医薬品事業が想定以上に好調に推移した。さらに、英ポンドやユーロなどの欧州通貨に対するスイスフラン安の進行に伴って、営業外収益で為替差損益が大幅に改善(前期は4億25百万円の為替差損計上、今期は4億17百万円の為替差益計上)したことも寄与した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が24.4%増の179億97百万円で営業利益(調整前)が93.1%増の30億81百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が4.1%減の105億33百万円で営業利益が15.9%減の19億76百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円だった。

 通期の連結業績予想(収益認識基準適用、11月1日に利益を上方修正)は、収益認識基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 海外の医療用医薬品事業が下期も好調に推移する見込みだ。修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が50.4%、経常利益が59.9%、親会社株主帰属当期純利益が57.2%と順調である。為替相場の先行きが不透明な状況として、通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。このため通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 なお11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日~22年5月13日)も発表している。

 株価は反発力の鈍い形だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。11月4日の終値は2010円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円80銭で算出)は約25倍、時価総額は約1068億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る