巴工業は22年10月期減益予想だが保守的

(決算速報)
 巴工業<6309>(東1)は12月14日の取引時間終了後に21年10月期の連結業績を発表した。化学工業製品販売事業の需要回復が牽引して大幅増収増益だった。22年10月期は売上構成差や経費増加などを考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。上振れを期待したい。株価は11月の直近安値圏から切り返しの動きを強めている。目先的には22年10月期減益予想が嫌気されそうだが下値限定的だろう。

■21年10月期大幅増収増益、22年10月期減益予想だが保守的

 21年10月期の連結業績は、売上高が20年10月期比15.1%増の451億32百万円、営業利益が25.8%増の28億43百万円、経常利益が26.6%増の29億05百万円、親会社株主帰属当期純利益が37.6%増の21億08百万円だった。配当は2円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。

 概ね計画水準(21年9月10日に2回目の上方修正)で着地した。化学工業製品販売事業における需要回復が牽引して大幅増収増益だった。なお特別利益に投資有価証券売却益23百万円、関係会社清算益62百万円を計上した。

 機械製造販売は売上高が6.7%増の123億22百万円、営業利益が4.3%減の8億86百万円だった。国内官需向け機械と装置・工事、海外向け機械などが伸長して増収だが、収益性の低下や販管費の増加などで減益だった。化学工業製品販売は売上高が18.6%増の328億09百万円、営業利益が46.7%増の19億57百万円だった。自動車分野を中心に需要が回復し、樹脂原料・製品、自動車・建材用途向け材料、紫外線硬化樹脂、塗料・インキ用途向け材料・添加剤など、全分野で販売が増加した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が106億06百万円で営業利益が6億49百万円、第2四半期は売上高が124億42百万円で営業利益が12億85百万円、第3四半期は売上高が103億68百万円で営業利益が2億56百万円、第4四半期は売上高が117億16百万円で営業利益が6億53百万円だった。

 22年10月期連結業績予想(収益認識基準適用のため売上高の増減率は非掲載)は、売上高が396億50百万円、営業利益が16.0%減の23億90百万円、経常利益が17.4%減の24億円、親会社株主帰属当期純利益が7.0%減の19億60百万円、配当予想は21年10月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 第12回中期経営計画の最終年度にあたり、世界経済の緩やかな回復を想定し、計画達成に向けて海外ビジネス拡大を推進する。セグメント別の計画は、機械製造販売は売上高が128億円で、営業利益が収益性の良い部品修理販売の減少と販管費の増加で12.1%減の7億80百万円、化学工業製品販売は売上高が265億80百万円で、営業利益が営業開発関係の販管費の増加で17.7%減の16億10百万円としている。なお特別利益に社員寮売却益の計上を見込んでいる。

 22年10月期は売上構成差や経費増加などを考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。上振れを期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は調整一巡して11月の直近安値圏から切り返しの動きを強めている。目先的には22年10月期減益予想が嫌気されそうだが下値限定的だろう。目先的な売り一巡後に戻りを試す展開を期待したい。12月14日の終値は2409円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS196円43銭で算出)は約12倍、時価総額は約254億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る