【株式評論家の視点】ヘリオスは細胞医薬、再生医療の開発で有力、日本医療研究開発機構と提携

株式評論家の視点

ヘリオス<4593>(東マ)は、本年6月16日に東証マザーズに上場。眼科手術補助剤の開発・販売、細胞医薬品・再生医療等製品の研究・開発・製造を行っている。同社は、2013年に大日本住友製薬株式会社と共同開発契約を締結。この契約に基づきヘリオスは、大日本住友製薬から提供される開発資金をもとに、国内におけるiPS細胞由来のRPE細胞の開発を共同で行い、製造販売承認の取得及び販売を行うことに合意している。さらに共同開発によって製品化されるRPE細胞医薬品に関して、その製造や販売促進を共同して行うため、2014年に合弁会社として株式会社サイレジェンを設立。

また、澁谷工業株式会社や株式会社ニコン、大阪大学とは、より一層の製造の効率化にむけた自動培養化装置の開発を進め、世界に先駆けてiPSC再生医薬品の実用化を進めるため、バリューチェーンを担う企業と強固な開発体制を構築している。一方海外については、同社主導の開発を計画しており、これまでに米国及び欧州市場における製造委託先の選定を完了し、当該委託先への技術移転に着手、米国の規制当局と事前相談を開始している。

今2015年12月期第1四半期業績実績は、売上高が1900万円、営業損益が2億3200万円の赤字、経常損益が2億4100万円の赤字、最終損益が2億4100万円の赤字に着地。

通期業績予想は、売上高が117億6200万円(前期は2億7900万円)、営業損益が16億3800万円の赤字(同5億7300万円の赤字)、経常損益が15億8800万円の赤字(同4億7600万円の赤字)、最終損益が15億9100万円の赤字(同4億8000万円の赤字)を見込んでいる。

1日大引け後、日本医療研究開発機構(AMED)との間で、平成27年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に関する委託契約を締結したと発表。同社受託事業は、AMEDから提供される資金を活用して、アイソレータ内での最終細胞(同社の場合、RPE細胞)の製造工程等の評価手法を研究するもので、その研究結果は、将来的な再生医療の産業化に向けて、今後アイソレータ内で製造される様々な再生医療等製品に対する評価基準等を確立するために使われる。

同社にとってRPE細胞をアイソレータ内でより一層安定的かつ効率的に製造する方法を検討、開発するために有益と期待されている。受託期間は6月26日から来年3月31日までで、受託期間終了後のAMEDの審査が完了する来16年12月期に同受託事業の実施に伴う収入(営業外収益)を見込んでいる。

株価は、6月16日の上場初日は、公開価格の1200円を270円(22.5%)上回る1470円で初値をつけた後、同日高値1763円と上昇。同19日高値1750円と買い直された後、調整している。現在公開価格を下回っており、目先の売りが膨らんだもよう。短期的には値ごろ感が出始める株価の位置にあり、リバウンド局面入りとなるか注目されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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