イーブック下値固まる、900円台は中長期で狙える

株式市場 銘柄

チャート6 イーブックイニシアティブジャパン<3658>(東1・売買単位100株)は、上場来安値に近い水準でモミ合う展開となっている。ただ、昨年5月の上場来安値875円に対し900円台での下値固めは進んでいる。

 電子書籍配信サービスの大手で電子書籍書店「eBookJapan」の運営を主力として、パソコン・モバイル向け電子書籍配信サービスなどを展開している。漫画コミックの分野で世界最大級の品揃えに強みを持ち、2000年創業以来の累計販売数は15年4月に5000万冊を突破した。

 電子書籍事業の電子書籍配信は自社電子書籍配信サイト「eBookJapan」での電子書籍販売、書籍の電子化受託、電子書籍配信プラットフォームの受託開発、eBook図書券の販売など、電子書籍提供はパートナー企業への電子書籍配信システムや書籍データ提供(航空機内向けサービス等を含む)などである。クロスメディア事業はコンテンツ/キャラクターを活用した販促プロモーション、中華圏向けプロモーション支援、知育アプリの開発・販売などである。

 総合電子書店NO.1の確立に向けて総合図書などの取扱冊数を大幅に増加させている。15年4月末のジャンル別取扱冊数は、男性マンガが前年同期比24.0%増の6万3050冊、女性マンガが同37.0%増の6万3400冊、総合図書が同2.2倍の22万7190冊、その他が同68.7%増の1万7210冊、合計が同74.3%増の37万0850冊となった。登録会員数は14年11月に100万人を突破し、15年4月末時点では同15.4万人増加の107.4万人となった。

 15年2月には、中国最大級のソーシャルメディア「微博(weibo.com)」の日本にける総括代理店で、日本企業に対する中華圏向けプロモーション支援事業を展開するFind Japanを子会社化した。さらに当社、Find Japan、および中国・上海世紀出版集団グループの出版会社である上海故事会文化伝媒有限公司の3社共同出資で上海に合弁会社を設立した。中国においてコミックを中心とした電子書籍配信ビジネスを開始する。

 15年4月にはクックパッド<2193>と資本業務提携し、第三者割当増資でクックパッドが第1位株主(保有比率10.39%)となった。クックパッドの有するマーケティング・ノウハウの当社への提供など、業務提携の詳細については今後両社間で協議のうえ決定する。そしてクックパッドの子会社で漫画家・作家向け制作・配信システム構築を手がけるマグネットの第三者割当増資を引き受けて子会社化(保有比率50.98%)した。

 2015年1月期のROEは8.6%、自己資本比率は59.3%と優秀。

 2016年1月期は、売上高が60億円~70億円(前期比17.0%増~36.5%増)、営業利益が2億円の赤字~1億円の黒字(前期は3億13百万円の黒字)、経常利益が2億円の赤字~1億円の黒字(同3億16百万円の黒字)、純利益が1億28百万円の赤字~80百万円の黒字(同1億83百万円の黒字)のレンジ予想で、配当予想は無配継続としている。

 登録会員数増加や新規連結などで大幅増収見通しだが、16年1月期と17年1月期は中期成長に向けた先行投資期間と位置付けているため、基盤システムのリニューアル、中期注力領域への投資などを推進し、開発費・人件費・広告宣伝費の増加、新規連結会社ののれん償却費増加などで減益見通しだ。

 中期目標値としては5年後に売上高300億円(電子書籍配信100億円、電子書籍提供100億円、クロスメディア100億円)および売上高経常利益率10%、日本発作品のグローバル電子書籍売上に占める当社電子書籍シェア7%を掲げている。

 下値不安の薄い900円台は中長期で狙えそうだ。

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