【株式市場特集】昨年来高値から下落率30%~50%の超弱気銘柄のダメ押し場面に注目

 日経平均株価とともに前週9日に昨年来安値を更新して翌9日に急反発した日経平均株価採用の主力銘柄である。安値更新は29銘柄に達し、うちキリンホールディングス<2503>(東1)など4銘柄は、10日の反発のあと前週末11日に再び昨年来安値を更新したが、残り25銘柄は続伸するか小幅安にとどまった。いずれも昨年来高値からの下落率が、30%~50%に達し超弱気銘柄である。ただPER、PBR、配当利回りからは売られ過ぎ水準にあり、この昨年来安値から巻き戻しが中間反騰、本格反騰の先触れとなるか、週明けのダメ押し場面が注目されることになる。

 その代表は、昭和電工<4004>(東1)である。同社は、3月9日に株式公開買い付け(TOB)でグループ会社化した日立化成(現昭和電工マテリアルズ)との新統合会社の新商号「レゾナック」を発表したが、翌10日付けの日本経済新聞で、政策保有株すべてを売却し450億円の資金を捻出すると観測報道され、前日9日につけた昨年来安値1807円から10%超も急反発し、週末11日も小幅続伸して引けた。週明けも昭和電工がポジティブに動くかウオッチしつつ残りの超弱気24銘柄が追随高できるのか一考余地があり、今週の当特集は、この25銘柄に焦点を当てることとした。

■昭電工次第で化学株はナフサ価格・価格転嫁動向も押し上げ効果

 昭和電工が、昨年5月の昨年来高値3730円から今年3月の昨年来安値1807円まで51.5%下落とほぼ半値になったのには無理からぬ材料がある。まず日立化成のTOBの業績メリット・デメリット、TOB資金調達のための新株式発行、前期業績の下方修正、純利益の連続赤字着地、今2022年12月期営業利益の減益転換予想などが重なった。それでも今期純利益は、大幅黒字転換予想で2023年1月をメドに昭和電工マテリアルズを傘下とする持株会社に移行する予定である。高値から半値までの大幅調整で悪材料をすべて織り込み済みとなれば、あとはPER13倍、PBR0.7倍、年間配当3.2%と売られただけに「谷深ければ山高し」の浮上を待つだけの展開になるはずである。

 トクヤマ<4043>(東1)、デンカ<4061>(東1)、DIC<4631>(東1)の同じ化学株も、昭和電工型の底上げを展開し、3月10日に急反発し、11日は小幅安にとどまった。PERは5倍~11倍、PBRはトクヤマが1倍で残り2社は0.6倍、配当利回りはいずれも4%超と売られ過ぎとなっているのも共通である。昨年来安値まで調整したのは、トクヤマが原油価格高騰に伴うコスト高による業績下方修正、デンカが迅速抗原検査キットの保険点数引き下げに伴う業績下方修正、DICが買収したドイツのBASF社から買収した顔料事業の出荷遅延による業績下方修正となっており織り込み済みとみられる。むしろ今後、原油価格やナフサ価格の高騰とピークアウト、価格転嫁動向などが綱引きしつつ底上げ相場に追い風となりそうだ。

■連続最高純利益銘柄は連日プラスで高配当銘柄は期末権利取りもオン

 昭和電工と同様に10日のリバウンドから11日に小幅続伸して引けたのはニチレイ<2871>(東1)、王子ホールディングス<3861>(東1)、日本板硝子<5202>(東1)、東海カーボン<5301>(東1)、JR東日本<9020>(東1)で、三菱電機<6503>(東1)は、11日に前日比変わらずで引けた。このうちニチレイと板ガラスは、今期純利益を小幅下方修正したが水準自体は過去最高更新となり、王子HDも、2期ぶりに過去最高を更新し、東海カーボンは、下方修正した前12月期の純利益が上ぶれ着地してV字回復、今期は連続の2ケタ増益を見込むなどファンダメンタルズは良好である。

 3月期期末接近とともに高配当利回り水準にある銘柄も、配当権利取りが底放れの好需給要因となる見込みである。配当利回りが5%台の日本軽金属ホーディングス<5703>(東1)、4%台の帝人<3401>(東1)、野村ホールディングス<8604>(東1)、3%台の東洋紡<3101>(東1)、三菱電機<6503>(東1)、OKI<6703>(東1)などは、値ごろ妙味も加わって全員参加型の底上げ相場が期待十分である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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