神鋼商事は23年3月期経常増益予想、さらに上振れ余地

(決算速報)
神鋼商事<8075>(東証プライム)は4月18日の取引時間中に22年3月期連結業績を発表した。取扱数量増加や価格上昇などで前回予想を上回る大幅増益で着地した。そして23年3月期も経常増益(過去最高)予想としている。不透明感を考慮して小幅経常増益予想にとどめているが、さらに上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は決算発表を機に急伸の形となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■22年3月期大幅増益着地、23年3月期経常増益予想、さらに上振れ余地

22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響なし)は、売上高が4943億51百万円で、営業利益が21年3月期比2.3倍の100億54百万円、経常利益が2.4倍の97億26百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.2倍の71億36百万円だった。配当は195円増配の245円(第2四半期末85円、期末160円)とした。

なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ7268億67百万円減少している。また工事契約について原価回収基準に変更した影響で、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ2億75百万円増加している。

需要回復に伴う取扱数量増加や価格上昇などで前回予想を上回る大幅増益となり、経常利益は過去最高を更新した。営業外収益では持分法投資利益が2億03百万円増加、営業外費用では売掛債権譲渡損が3億14百万円増加、特別利益では負ののれん発生益1億83百万円を計上、債務免除益7億29百万円を計上、投資有価証券売却益が6億52百万円減少、特別損失では減損損失が9億39百万円減少、投資有価証券評価損が5億22百万円減少した。

セグメント別利益(経常利益)は、鉄鋼が需要回復による取扱数量増加や価格上昇で6.7倍の41億32百万円、鉄鋼原料が主に神戸製鋼所向けの取扱数量増加や価格上昇で2.3倍の7億18百万円、非鉄金属が銅製品・アルミ製品・非鉄原料の取扱数量増加で63.6%増の30億33百万円、機械・情報が建機部品・電池関連材料・半導体検査装置・工事の増加で29.2%増の15億82百万円、溶材が建築鉄骨・建機・造船・自動車向けの好調で2.3倍の3億24百万円だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1139億44百万円で経常利益が23億26百万円、第2四半期は売上高が1102億32百万円で経常利益が24億80百万円、第3四半期は売上高が1270億88百万円で経常利益が26億58百万円、第4四半期は売上高が1430億87百万円で経常利益が25億05百万円だった。

23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比9.2%増の5400億円、営業利益が3.5%減の97億円、経常利益が9.0%増の106億円、親会社株主帰属当期純利益が1.4%減の70億円としている。配当予想は5円減配の240円(第2四半期末120円、期末120円)としている。

セグメント別利益(経常利益)の計画は、鉄鋼が鋼材価格上昇などで11億円増加の52億円、鉄鋼原料が原料炭価格上昇などで4億円増加の11億円、非鉄金属が取扱数量増加(6億円増益)だが運賃等の販管費増加(10億円減益)などで5億円減少の25億円、機械・情報が連結範囲変更の影響(2億円減益)などで3億円減少の13億円、溶材が事業譲受による溶接材料取扱数量増加(1億円増益)などで2億円増加の5億円としている。

23年3月期も取扱高増加(過去最高)で経常増益(過去最高)予想としている。不透明感を考慮して小幅経常増益予想にとどめているが、さらに上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は決算発表を機に急伸の形となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。4月28日の終値は3620円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS790円00銭で算出)は約5倍、そして時価総額は約321億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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