松田産業は23年3月期減益予想だが保守的

(決算速報)
 松田産業<7456>(東証プライム)は5月13日に22年3月期の連結業績を発表した。貴金属関連事業、食品関連事業とも好調に推移して前回予想を上回る大幅増収増益・増配で着地した。23年3月期は不透明感や成長投資などを考慮して減益予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的だろう。なお新たな中期経営計画も発表し、積極投資の継続による収益基盤強化と新規収益源の創出、持続的成長を支える経営基盤の強化、ESG経営推進による企業価値向上を目指すとしている。収益拡大基調を期待したい。株価は23年3月期減益予想を嫌気して急落の形となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■22年3月期大幅増益、23年3月期減益予想だが保守的

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比17.6%増の2722億92百万円、営業利益が57.8%増の126億81百万円、経常利益が64,1%増の137億34百万円、親会社株主帰属当期純利益が56.7%増の95億58百万円だった。配当は21年3月期比8円増配の46円(第2四半期末22円、期末24円)とした。

 貴金属関連事業、食品関連事業とも好調に推移して、前回予想を上回る大幅増収増益だった。なお収益認識基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が114億81百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ99百万円増加している。

 貴金属関連事業は売上高が26.0%増の1929億38百万円で、セグメント利益(営業利益)が51.5%増の103億50百万円だった。貴金属リサイクルの取扱量および産業廃棄物処理受託が増加し、貴金属製品の販売量も増加した。さらに貴金属相場の上昇も寄与した。食品関連事業は売上高が1.1%増の794億31百万円で、営業利益が93.5%増の23億30百万円だった。水産品、畜産品、農産品の販売量が増加した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が701億20百万円で営業利益が41億89百万円、第2四半期は売上高が659億21百万円で営業利益が30億80百万円、第3四半期は売上高が675億93百万円で営業利益が31億94百万円、第4四半期は売上高が686億58百万円で営業利益が22億18百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比2.8%増の2800億円、営業利益が13.3%減の110億円、経常利益が17.0%減の114億円、親会社株主帰属当期純利益が16.3%減の80億円としている。配当予想は22年3月期比2円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。

 23年3月期は、貴金属相場の変動による利益影響を見込めないとして、不透明感や成長投資などを考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。なお新たな中期経営計画(23年3月期~26年3月期)も発表し、積極投資の継続による収益基盤強化と新規収益源の創出、持続的成長を支える経営基盤の強化、ESG経営推進による企業価値向上を目指すとしている。そして4ヶ年累計の投資額は総額300億円としている。収益拡大基調を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は23年3月期減益予想を嫌気して急落の形となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。5月16日の終値は1946円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS306円67銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.5%、時価総額は約563億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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