ヤマシタヘルスケアホールディングスは23年5月期大幅減益予想だが保守的

(決算速報)
 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東証スタンダード)の22年5月期連結業績は、21年5月期比では小幅営業・経常減益だったが、前回予想に対しては上振れて着地した。23年5月期は、国が交付したコロナ対策補助予算等による一時的な対策需要(特需)が見込めないため、減収・大幅減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、会社予想は上振れの可能性が高いだろう。なおサステナブルな成長の実現に向けて、2030年度を目標年度とする長期ビジョン「マルティプライビジョン2030」を策定した。株価は大幅減益予想を嫌気して急落したが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■22年5月期は上振れ着地、23年5月期大幅減益予想だが保守的

 22年5月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前期比増減率は非掲載、利益への影響なし)は、売上高が551億45百万円、営業利益が21年5月期比3.9%減の9億30百万円、経常利益が2.2%減の10億03百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.6%増の6億96百万円だった。配当は21年5月期比8円減配の82円(期末一括)とした。

 21年5月期との比較ではコロナ禍の影響が和らぎ、営業強化も奏功して実質的に増収だったが、販管費の増加などで小幅営業・経常減益だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ177億87百万円減少している。収益認識会計基準適用前に換算すると売上高は21年5月期比4.0%増の729億32百万円となる。

 なお前回予想(22年3月31日付で上方修正、売上高544億26百万円、営業利益8億30百万円、経常利益8億94百万円、親会社株主帰属当期純利益5億39百万円)に対しては上振れて着地した。

 医療機器販売業は売上高が549億60百万円(収益認識会計基準適用前ベースでは4.3%増の727億38百万円)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が12.9%増の19億74百万円だった。コロナ禍の影響が和らいで医療需要が回復傾向となった。収益認識会計基準適用前ベースの売上高の内訳は、一般機器分野が2.3%減の130億22百万円、一般消耗品分野が3.0%増の238億45百万円、低侵襲治療分野が6.9%増の174億28百万円、専門分野が5.9%増の119億68百万円、情報・サービス分野が15.0%増の64億73百万円だった。

 医療機器製造・販売業は売上高が2億87百万円で利益が72.2%減の20百万円、医療モール事業は売上高が68百万円で営業利益が46百万円の赤字(21年5月期は1百万円の黒字)だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が128億85百万円で営業利益が2億02百万円、第2四半期は売上高が144億50百万円で営業利益が4億61百万円、第3四半期は売上高が133億01百万円で営業利益が1億89百万円、第4四半期は売上高が145億09百万円で営業利益が78百万円だった。

 23年5月期の連結業績予想は売上高が22年5月期比3.7%減の531億17百万円、営業利益が43.6%減の5億25百万円、経常利益が43.5%減の5億66百万円、親会社株主帰属当期純利益が43.2%減の3億95百万円、配当予想が22年5月期比36円減配の46円(期末一括)としている。

 コロナ関連以外の診療や手術症例等については堅調に推移するが、国が交付したコロナ対策補助予算等による一時的な対策需要(特需)が見込めないため、減収・大幅減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、会社予想は上振れの可能性が高いだろう。

 なおサステナブルな成長の実現に向けて、2030年度を目標年度とする長期ビジョン「マルティプライビジョン2030」を策定した。中核事業との連携を図りながら、新たな事業ポートフォリオの構築を通じて、積極的な価値創出を目指すとしている。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は23年5月期大幅減益予想を嫌気して急落したが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。7月19日の終値は1637円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS154円92銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3126円18銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約42億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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