インフォマートは22年12月期3Q累計減益だが通期利益予想を大幅に超過達成

(決算速報)
 インフォマート<2492>(東証プライム)は10月31日の取引時間終了後に22年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。積極的な先行投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数の増加で順調だった。そして通期の減益予想(7月20日付で上方修正して減益幅縮小予想)を据え置いた。ただし第3四半期累計の利益は経費発生の期ズレも寄与して通期予想を大幅に超過達成している。第4四半期に経費増加を見込んでいるが、通期利益予想は再上振れの可能性がありそうだ。さらに先行投資の成果で中期的に収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが、調整一巡して徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■22年12月期3Q累計減益だが通期利益予想を大幅に超過達成

 22年12月期第3四半期累計(1月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.8%増の80億67百万円、営業利益が20.5%減の7億23百万円、経常利益が26.2%減の6億80百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の4億84百万円だった。積極的な先行投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数の増加で順調だった。

 売上高は、BtoB-PF FOOD事業が11.4%増の56億87百万円、BtoB-PF ES事業が16.3%増の23億80百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注は、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食、テイクアウト・デリバリー等)および店舗の新規契約数が増加し、コロナ禍に伴う規制が解除されて食材流通金額が増加したことも寄与した。BtoBプラットフォーム請求書は新規有料契約数が順調に増加した。なお、全社ベースの利用企業数は前年同期比23.4%増の79万1016社、事業所数は19.7%増の148万6073事業所となった。

 利益面では、サーバー体制強化に伴うデータセンター費の増加(5億92百万円増加)に加えて、稼働業務の外注化に伴う支払手数料の増加、事業拡大に向けた営業および営業サポート人員の補強による人件費の増加、積極的なマーケティングによる販売促進費の増加などの影響で減益だった。ただしデータセンター費やソフトウェア償却費の発生の期ズレ、販管費における販売促進費や支払手数料の発生の期ズレなどにより、各利益は計画に比べて上振れて着地した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が25億60百万円で営業利益が1億83百万円、第2四半期は売上高が27億23百万円で営業利益が2億58百万円、第3四半期は売上高が27億84百万円で営業利益が2億81百万円だった。

 通期連結業績予想(7月20日付で上方修正)は据え置いて、売上高が21年12月期比13.0%増の111億13百万円、営業利益が55.4%減の4億60百万円、経常利益が60.3%減の4億05百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が47.4%減の2億83百万円としている。配当予想(7月20日付で上方修正)は21年12月期比71銭減配の72銭(第2四半期末36銭、期末36銭)としている。

 新規契約数の増加や食材流通金額が増加などで増収だが、売上成長の加速を優先して積極的な先行投資を継続するため、利益はサーバーコスト、人件費、販売促進費の増加など積極的な先行投資の影響で減益予想としている。なお売上高の計画は、BtoB-PF FOOD事業が10.1%増の77億08百万円、BtoB-PF ES事業が20.1%増の34億05百万円としている。

 ただし第3四半期累計の進捗率は売上高が72.6%、営業利益が157.2%、経常利益が167.8%、親会社株主帰属当期純利益が170.8%と、経費発生の期ズレも寄与して利益は通期予想を大幅に超過達成している。第4四半期に経費増加を見込んでいるが、通期利益予想は再上振れの可能性がありそうだ。

 さらに、外食産業における受発注の電子化、企業における請求書の電子化、23年開始のインボイス制度などのDXニーズも背景として、先行投資の成果で中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は安値圏だが、調整一巡して徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。10月31日の終値は483円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円24銭で算出)は約390倍、今期予想配当利回り(会社予想の72銭で算出)は約0.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約9.7倍、そして時価総額は約1253億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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