【チャート診断】トヨタ自動車は4日の決算好調でも上値は限定的か、アベノミクス申し子、政権支持率が気になる

トヨタ自動車 7203

<歩み&現在位置>

 トヨタ自動車<7203>(東1・売買単位100株)は、14年4月の安値5205円から今年3月の8783円までちょうど1年間で3578円上昇、率にして68.7%上昇した。この間、同じ1年間の日経平均の上昇率約42%を大きく上回った。
 しかし、トヨタが3月高値のあと調整入りしているのに対し日経平均は4月以降も上昇、6月に高値をつけている。8月3日のトヨタ終値は8200円と3月高値に対し9.3合目水準にある。高値に手を伸ばせば届く位置だが、既に高値から約5カ月が経過しようとしており、上がるものなら上がっていたのではないかと、上値も重いようだ。

<マーケットの視点>

 4日(火)発表の第1四半期(4~6月)決算と通期予想、さらに、グローバル銘柄だけに米国景気及び日本の景気の行方、そして、「円安」の行方が注目されている。第1四半期は前年同期比で増収増益と推察されるが、問題は今期(16年3月期)通期の見通し。現時点での会社側通期見通しは1.0%増収、1.8%営業増益、1株利益715.0円。これに対しマーケットの見方として認知されている四季報予想は2.8%増収、8.3%営業増益、1株利益756.3円である。
 ファナックのように通期減額はなさそうだが、四季報予想数字にとどくかどうかが注目される。また、決算と同時に利上げを控えている米国景気の行方も気になる。とくに、これまでのドル高(円安)が米国企業業績に影を落としているといわれるだけにこの先、円安が進むかどうかも見通し難である。

<方向&短期・中期判断>

 日足チャートは、3月高値8783円のあと5月にもう一度8700円まで買われたことで、「二番天井」を形成した形となっている。7月9日には長い下ヒゲで直近安値7630円まで下げたが、3月以降は概ね8000~8700円の大きいボックス相場で横に這っている相場。13年5月にも約1年半のモミ合いが続いているが、同様の展開となるのかどうかは、当時とは景気情勢、為替状況が微妙に変化している。
 とくに、アベノミクスの申し子でもあるだけに、安倍政権の支持率低下も気になるところである。4日の決算で買われる場面があっても上値を追うことは難しのではなかろうか。上値追い買いは避け押し目買いに徹したい。

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