ゼリア新薬工業は23年3月期2Q累計大幅増収増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、11月2日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績(10月31日付で上方修正)を発表した。期初予想を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。通期は期初予想を据え置いて2桁増収増益予想としている。第2四半期累計の好調を勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得の期間延長(23年5月12日まで延長)も発表した。株価は順調に水準を切り上げて7月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計大幅増収増益、通期予想据え置きだが上振れの可能性

23年3月期第2四半期累計の連結業績(10月31日付で上方修正)は、売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも、営業リソースの積極投入で売上拡大した。

コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計の好調を勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は順調に水準を切り上げて7月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。11月2日の終値は2214円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1176億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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