神鋼商事は23年3月期2Q累計大幅経常増益、通期業績・配当予想を上方修正

(決算速報)
神鋼商事<8075>(東証プライム)は、11月2日の取引時間中に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。経常利益は鉄鋼や鉄鋼原料を中心とする価格上昇効果や為替影響などにより、前回予想(8月3日付で上方修正)を上回る大幅増益だった。そして通期の業績・配当予想を上方修正した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して年初来高値を更新し、07年の高値に接近している。引き続き指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計大幅経常増益、通期業績・配当予想を上方修正

11月2日に発表した23年3月期第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比24.3%増の2786億18百万円、営業利益が57.1%増の64億19百万円、経常利益が40.0%増の63億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が14.9%増の44億32百万円だった。

経常利益は鉄鋼や鉄鋼原料を中心とする価格上昇効果や為替影響などにより、前回予想(8月3日付で上方修正して53億円)を上回る大幅経常増益だった。上期として過去最高だった。

なお営業外収益では持分法投資利益が1億56百万円増加(前年同期は3億68百万円、今期は5億24百万円)した。営業外費用では売掛債権譲渡損が拡大(前年同期は2億79百万円、今期は5億17百万円)した。また為替差損益が改善(前年同期は差損1億10百万円、今期は差益2億34百万円)したが、デリバティブ評価損益が悪化(前年同期は評価益1億30百万円、今期は評価損6億67百万円)した。

特別利益では前年同期に計上した負ののれん発生益1億83百万円が剥落したが、固定資産売却益4億29百万円を計上した。また投資有価証券売却益が増加(前年同期は77百万円、今期は1億15百万円)した。なお親会社株主帰属四半期純利益の増益率は、税負担が増加したため、営業利益および経常利益の増益率に比べて小幅だった。

セグメント別利益(経常利益)を見ると、鉄鋼は13.0%増の27億88百万円だった。半導体不足の影響を受けた自動車向けを中心に取扱量は減少したが、鋼板製品や特殊鋼製品の価格上昇効果が寄与した。鉄鋼原料は7億30百万円(前年同期は7百万円)だった。神戸製鋼所向けの主原料やチタン原料の取扱量が増加し、原料価格上昇効果も寄与した。非鉄金属は12.7%減の14億78百万円だった。自動車向けアルミ板条の取扱量が増加し、中国の半導体・イオン注入装置ユニット製造会社の受注も好調だったが、伸銅品や非鉄スクラップの取扱量が減少した。機械・情報は98.1%増の6億41百万円だった。国内外で建設機械部品が好調に推移し、大型圧縮機・汎用コンプレッサのメンテナンスも増加した。溶材は226.4%増の3億50百万円だった。溶接材料価格上昇に加えて、溶接ロボットの増加も寄与した。その他(不動産賃貸事業等)が3億97百万円(同34百万円の損失)だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1409億39百万円で経常利益が40億09百万円、第2四半期は売上高が1376億79百万円で経常利益が23億78百万円だった。

第2四半期累計が計画以上に好調に推移したため、11月2日付で通期の連結業績予想を上方修正し、売上高が22年3月期比16.7%増の5770億円、営業利益が18.4%増の119億円、経常利益が23.4%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が23.3%増の88億円としている。配当予想も11月2日付で上方修正(第2四半期末30円上方修正、期末30円上方修正、合計60円上方修正)して、22年3月期比55円増配の300円(第2四半期末150円、期末150円)としている。

通期連結業績予想は、前回予想(売上高5400億円、営業利益97億円、経常利益106億円、親会社株主帰属当期純利益70億円)に対して売上高を370億円、営業利益を22億円、経常利益を14億円、親会社株主帰属当期純利益を18億円それぞれ上方修正した。過去最高の取扱高で過去最高の経常利益となる見込みだ。

なお通期の経常利益増減計画(前回予想時)は、鉄鋼が鋼材価格上昇などで11億円増益、鉄鋼原料が主原料価格上昇などで4億円増益、非鉄金属が取扱量減少などで5億円減益、機械・情報が連結範囲変更の影響などで3億円減益、溶材が事業譲受による溶接材料取扱数量増加などで2億円増益としている。そして今回は上振れ要因として、為替影響・他で合計14億円を上乗せした。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は上方修正を好感して年初来高値を更新した。そして07年の高値に接近している。引き続き指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月2日の終値は4330円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1000円00銭で算出)は約4倍、今期予想配当利回り(会社予想の300円で算出)は約6.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS7107円83銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約384億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る