【編集長の視点】ゼリア新薬は続落も2Q業績上方修正を見直しバイオ関連株買いが再燃余地

編集長の視点

ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、54円安の1723円と4日続落して始まっている。前日20日の米国ニューヨーク・ダウ工業株平均が、358ドル安と急続落するなど世界的な株安が続き、きょう21日の日経平均株価が、395円安と3日続落してスタートする相場環境下、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、同社は、今年8月5日に今3月期第1四半期(1Q)決算の開示に合わせて、今期第2四半期(2Q)累計業績の上方修正を発表しており、見直して逆行高思惑を高めバイオ関連株買いが再燃する展開も想定される。テクニカル的にも、25日移動平均線水準での三角保ち合いにダメ押し感を強めており、上放れ期待を強めよう。

■対スイスフランの為替差損をカバーし主力製品の売り上げが拡大

2Q累計業績は、売り上げを期初予想の据え置きとしたが、営業利益、経常利益を各1億円、純利益を3億円引き上げ、売り上げは310億円(前年同期比2.9%増)、営業利益は16億円(同29.8%減)、経常利益は11億円(同50.9%減)、純利益は11億円(同48.0%減)とし、利益は、連続減益率を縮小させる。主力商品の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が、国内で順調に伸び、コンシューマーヘルスケア事業で主力の「ヘパリーゼ群」が、積極的なテレビCM展開で売り上げを拡大、今年1月にスイス中央銀行が、スイスフランの対ユーロ為替上限レートを撤廃して多額の為替差損が発生したが、収益性の高い主力製品の続伸や経費の効率的な使用により利益が上ぶれ、純利益は、今期通期で見込んでいた投資有価証券売却益を1Qに前倒しして計上したことで上ぶれ幅を拡大する。

3月通期業績は期初予想に変更はなく、売り上げ650億円(前期比6.5%増)、営業利益40億円(同49.3%増)、経常利益35億円(同26.3%増)、純利益30億円(同17.3%増)と見込み、増収増益転換する。同社の業績は、前期に消費税増税前の駆け込み需要の反動減や昨年4月の薬価改定の影響、2013年6月に発売した機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築の遅れなどから下方修正が続いたが、今期は、「アコファンド」への医療機関の認知度も高まっているうえに、早くも2Q累計業績を上方修正しており、業績トレンドが大きく変わったことを示唆している。

■25日線での三角保ち合いにダメ押し感を強めて逆行高特性発揮も

株価は、年初来高値2146円から前期業績の再下方修正で1842円まで調整、今期業績の増益転換予想を買い直して1900円台を回復、全般相場急落とともに年初来安値1656円と突っ込んだが、2Q累計業績の上方修正で1919円までリバウンド、25日移動平均線での値固めを続け、きょう21日を含めたこのところの4日続落で三角保ち合いにダメ押し感を強めている。バイオ関連の逆行高特性発揮で一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る