JPホールディングスは24年3月期営業・経常増益予想、さらに上振れ余地

(決算速報)
JPホールディングス<2749>(東証プライム)は5月11日の取引時間中に23年3月期連結業績を発表した。概ね計画水準の増収増益で着地した。新規施設開設や「選ばれ続ける園・施設づくり」に向けた各種取組が奏功し、受入児童数の増加や効率的な施設運営などで費用増加を吸収した。そして24年3月期も営業・経常増益(当期純利益は特別損失一巡で減益)予想としている。小幅増益にとどまる見込みとしているが保守的な印象が強く、さらに上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げ、決算発表に対しても反応薄の形だった。ただし調整一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。

■23年3月期増収増益着地、24年3月期営業・経常増益予想

23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比3.3%増の355億07百万円、営業利益が9.6%増の36億67百万円、経常利益が11.5%増の37億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が18.4%増の26億98百万円だった。配当は22年3月期比1円50銭増配の6円(期末一括=普通配当5円+創業30周年記念配当1円)とした。配当性向は19.2%である。

概ね計画水準の増収増益で着地した。売上面ではコロナ禍による部分的な休園・休室の影響を受けたが、新規施設開設や「選ばれ続ける園・施設づくり」に向けた各種取組が奏功し、受入児童数の増加などで増収だった。新規施設開設は保育所2園、学童クラブ・児童館13施設、合計15施設で、期末の施設数は保育園209園、学童クラブ89施設、児童館11施設、合計309施設となった。

利益面では、電気料金値上げなどの影響を受けたが、各施設の人員再配置など効率的な施設運営に加えて、22年3月期に発生した特殊要因費用(新人事制度導入に伴う賞与支給対象期間変更による賞与引当金の増額、システム導入に伴う費用の増加など)の一巡も寄与した。また特別利益では固定資産売却益が増加(22年3月期は1億48百万円、23年3月期は3億55百万円)した。土地・建物を保有して運営する保育園7園に関して、保有リスクを回避するため将来的な売却等を視野にオフバランス化を検討し、7園のうち4園の固定資産(土地・建物)を売却した。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が85億96百万円で営業利益が7億26百万円、第2四半期は売上高が86億11百万円で営業利益が7億76百万円、第3四半期は売上高が88億44百万円で営業利益が9億97百万円、第4四半期は売上高が94億56百万円で営業利益が11億68百万円だった。新規施設開園が概ね4月のため、期前半は各施設への保育士配置に係る費用が先行するが、児童数が増加して稼働率が上昇する期後半に向けて収益が拡大する特性がある。

24年3月期連結業績予想は、売上高が23年3月期比2.5%増の363億90百万円、営業利益が4.2%増の38億20百万円、経常利益が2.6%増の38億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益一巡して7.5%減の24億97百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の6円(期末一括)としている。記念配当1円を落とすため普通配当ベースでは1円増配の形となる。予想配当性向は20.5%である。

新規施設開設は保育園1園、学童クラブ・児童館8施設で、このうち23年4月1日付で保育園1園、学童クラブ・児童館7施設を開設済みである。認可保育園および東京都認証保育所5園を、ネイティブ英語講師を配置したバイリンガル保育園に変更する。

引き続き新規施設開設や「選ばれ続ける園・施設づくり」に向けた各種取組、効率的な施設運営などを推進して増収、営業・経常増益予想としている。小幅増益にとどまる見込みとしているが保守的な印象が強く、さらに上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げ、決算発表に対しても反応薄の形だった。ただし調整一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。5月11日の終値は312円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円32銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS159円53銭で算出)は約2.0倍、時価総額は約274億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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