TACは24年3月期2桁営業増益予想

(決算速報)
TAC<4319>(東証スタンダード)は5月15日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。計画を下回り減収減益で着地した。民間企業の採用意欲の高まりなどで大学生を主な受講生とする講座への申し込みが低調となり、出版事業における巣ごもり需要反動減も想定以上だった。24年3月期は2桁営業増益予想としている。個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開が続いている。24年3月期予想に対しても反応薄だった。ただし下値固め完了感を強めている。PBR1倍割れに加えて、リスキリング関連のテーマ性もあり、モミ合いから上放れの展開を期待したい。

■23年3月期は減収減益着地、24年3月期は2桁営業増益予想

23年3月期の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が22年3月期比3.7%減の197億11百万円、営業利益が22.8%減の3億19百万円、経常利益が26.7%減の3億24百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が51.7%減の2億14百万円だった。配当は22年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)とした。配当性向は51.3%となる。

計画を下回り減収減益で着地した。民間企業の採用意欲の高まりなどで大学生を主な受講生とする講座への申し込みが低調となり、出版事業における巣ごもり需要反動減も想定以上だった。なお同社が重視している前受金調整前の現金ベースの売上高は4.2%減の192億95百万円だった。

個人教育事業は、現金ベース売上高が7.6%減の99億74百万円、営業費用が5.5%減の110億48百万円で、現金ベース営業利益が10億74百万円の赤字(22年3月期は8億97百万円の赤字)だった。法人研修事業は、現金ベース売上高が1.2%増の44億23百万円、営業費用が3.9%増の34億57百万円で、現金ベース営業利益が7.4%減の9億66百万円だった。なお受講者数は、個人受講者が4.7%減の11万2628人、法人受講者が3.3%減の8万4078人、合計が4.1%減の19万6706人だった。

出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が1.9%減の44億26百万円、営業費用が5.5%減の32億09百万で、営業利益が9.0%増の12億16百万円だった。巣ごもり需要の反動減が想定以上だったが、前期比では営業費用抑制などで増益だった。人材事業は売上高が1.0%増の5億17百万円、営業費用が0.2%増の4億47百万円で、営業利益が6.5%増の70百万円だった。会計系人材事業の広告売上および人材紹介が順調に推移した。

なお四半期別(売上高は前受金調整前現金ベース)に見ると、第1四半期は売上高が47億39百万円で営業利益が5億49百万円、第2四半期は売上高が56億80百万円で営業利益が3億91百万円、第3四半期は売上高が43億09百万円で営業利益が6億円の赤字、第4四半期は売上高が45億66百万円で営業利益が22百万円の赤字だった。利益は期前半に集中し、下期は赤字となる収益特性がある。

24年3月期連結業績予想は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が23年3月期比0.5%減の196億20百万円、営業利益が19.1%増の3億80百万円、経常利益が1.7%増の3億30百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.2%減の2億10百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は51.8%となる。

個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。

■株価は下値固め完了

株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開が続いている。24年3月期予想に対しても反応薄だった。ただし下値固め完了感を強めている。PBR1倍割れに加えて、リスキリング関連のテーマ性もあり、モミ合いから上放れの展開を期待したい。5月17日の終値は202円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円58銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS341円58銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約37億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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