大阪ガスとENEOSが国産e-メタンの大規模製造に向けて共同検討開始、大阪港湾部で6000万m3/年規模の製造設備構築を目指す

■カーボンニュートラルとエネルギー安定供給の両立へ

 大阪瓦斯<9532>(東証プライム)とENEOSホールディングス<5020>(東証プライム)のENEOSは29日、大阪港湾部におけるグリーン水素(風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギー由来の水素)を活用した国内初となる国産e-methane(グリーン水素等の非化石エネルギー源とCO2を原料として製造された合成メタン:e-メタン)の大規模製造に関する共同検討を開始したと発表。

 同検討は、海外で製造したグリーン水素を、効率的な水素の貯蔵・輸送手段の一種であるメチルシクロヘキサン(水素ガスの500分の1の容積で常温常圧の液体:MCH)に変換して輸送し、国内で回収した二酸化炭素(CO2)と組み合わせて、国産e-メタンを大規模に製造するもので、2030年までに大阪港湾部にて6000万m3/年(1万Nm3/h、一般家庭約25万戸相当)規模での製造設備構築および製造開始を目指していく。

 水素をe-メタンに変換することは、発電分野、モビリティ分野等のさまざまな用途における水素利用に関する検討が進んでいる中、水素の普及を拡大させ、水素社会の実現に寄与する。また、e-メタンは、都市ガスの脱炭素化につながることに加え、既存の都市ガスインフラや消費機器をそのまま活用することができるため、民生・産業分野の幅広い熱需要のカーボンニュートラルへの移行を、社会コストを抑制しながら円滑に実現することができる。さらに、e-メタンの製造拠点を国内に確保することにより、国内の産業界から排出されるCO2のリサイクルや、エネルギー安定供給にも貢献する。

 なお、e-メタンの社会実装に向けて、大阪ガスでは国内で排出されたCO2の利活用について三井化学<4183>(東証プライム)と検討を進める等、さまざまな取り組みを展開している。

 Daigasグループは、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、2023年3月に策定した「エネルギートランジション2030」にて、2030年度にe-メタンを1%(年間6000万m3)導入することを宣言しており、日本国内での技術開発・実証に加え、北米・南米・豪州・中東・東南アジア等において複数のメタネーションに関する検討も進めている。

 ENEOSは、グループの長期ビジョンにおいて「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け挑戦することを掲げ、脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据えて、国内外でCO2フリー水素サプライチェーン構築に取り組んでいる。

 大阪ガスおよびENEOSは、同検討を通じて、国産e-メタンの大規模製造設備を構築し、カーボンニュートラルとエネルギー安定供給の早期実現に向けて取り組んでいくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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