朝日ラバーは心臓の冠状動脈の構造を立体的にわかりやすく理解できる「CAトレーナー」を開発

■冠状動脈の立体的な位置関係を手のひらサイズで学べる

 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は30日、心臓の冠状動脈モデルの開発と生産に取り組み製品化したと発表。同製品は2023年8月に、医療関係の学生向けの教育ツールとして、国際医療看護福祉大学校(学校法人国際総合学園、福島県郡山市)に採用された。

■開発の経緯

 同社では、これまで培ってきた顧客や仕入先、研究機関、大学などとのネットワークを生かし、医療教育用の各種シミュレーターの開発を進めてきた。その中で、国際医療看護福祉大学校から、教育現場でのさらなる教育ツールの向上に関する相談を受け、同製品の開発がスタートした。開発の中で国際医療看護福祉大学校・臨床工学技士科の協力を得て製品化を実現した。

■製品の概要

 開発した「CAトレーナー」(CAは「Coronary Angiography:冠動脈造影(かんどうみゃくぞうえい)」の略称)は、心臓の冠状動脈(かんじょうどうみゃく)である「左前下降枝(ひだりぜんかこうし)」「左回旋枝(ひだりかいせんし)」「右冠動脈(うかんどうみゃく)」の3つの血管が、どのような向きでどのような見え方をするかのモデルを設計、開発し製品化した。

 心臓を造影剤投与によりX線撮影をすると、心臓を取り巻く冠状動脈は平面上に白黒の画像として映る。教育の場面では、このような平面の画像からそれぞれの血管の位置関係を教えること・学ぶことに難しさを感じていた。

 この「CAトレーナー」は大動脈からつながる左前下降枝、左回旋枝、右冠動脈の3つの血管の位置関係を正しく配置している3Dモデル。様々な角度から撮影された平面画像でも、このモデルを参照することで、どの血管がどの位置にあるかを正しく識別することができる。片手での保持や、持ち運びが容易となるよう全体の大きさを調整しつつ、血管の太さや向きが分かりやすいモデルとなるよう試行錯誤を重ね完成に至った。

【CAトレーナーの主な仕様】
・モデル:MFA-C01:組立品(教育用に各パーツを組み立てるタイプ)
 MFA-C02:完品(展示用や説明用の組立済みタイプ)
・用途:学習観察用ミニチュア
・大きさ:φ70×W90×H155mm
・材質:ウレタンアクリレート樹脂製
・構成:ドームケースと色分けした大動脈、左前下降枝、左回旋枝、右冠動脈で構成
・販売元:株式会社ジェイテックMFA事業部(東京都中央区)

※用語の解説

・冠状動脈:心臓の筋肉に血液を送る血管で、心臓に酸素と栄養を与える役割を持つ。右冠動脈と左冠動脈に分かれ、左冠動脈は左前下行枝、左回旋枝に分かれる。
・大動脈:人体の中で一番太い血管。心臓から送り出された血液が最初に通過する。
・左前下行枝:(LAD):心臓の前側に栄養を送る血管。
・左回旋枝:(LCX):心臓の後ろ側に栄養を送る血管。
・右冠動脈:(RCA):心臓の下側に栄養を送る血管。

■製品の特長・製品写真

・実際の血管の大きさから手のひらサイズまで縮小させており小型で軽量。
・ドームケースに各血管の位置関係と名称、見え方を記載しており、角度に応じた血管の位置が把握しやすい。
・血管ごとに色分けしているので血管が前後に重なり合っていても観察しやすい。
・出来るだけシンプルな構造にすることで安価での提供が可能に。

■同社と国際医療看護福祉大学校との関係

 ふくしま医療機器開発支援センターでは、福島県内はもとより全国の医療機器メーカーや医療分野への新規参入企業に対して、安全評価・コンサルティング・マッチング・人材育成といった一体的な医療機器開発支援を行っている。

 同センターが事務局を務める福島県医療福祉機器産業協議会の主催するセミナーにおいて、国際医療看護福祉大学校から学生用教材のニーズ発信がきっかけとなり取り組みが始まった。同校の医療現場の発展のみならず、医療関連の教育活動に貢献するため様々な意見交換を実施している。

■今後の展開

 現在医療に携わっている方だけでなく、これから医療を目指す方たちも理解しやすい教育ツールや手術手技シミュレーターの開発を進め、医療・介護業界に貢献していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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