【編集長の視点】サカタインクスは連日の年初来高値更新、業績再々上方修正と増配を手掛かりにバリュー株買いが増勢

■機能性材料の拡販と円安効果でV字回復

 サカタインクス<4633>(東証プライム)は、前日4日に4円高の1386円と6営業日続伸して引け、取引時間中には1402円と買われる場面があり、9月1日につけた年初来高値1382円を連日にわたり更新した。同社株は、今2023年12月期業績を第2四半期(2023年1月~6月期、2Q)累計業績を含めてすでに3回も上方修正しV字回復を鮮明化し、配当も増配を予定しており、これを手掛かりにバリュー株(割安株)買いが増勢となった。業績上方修正とともに想定為替レートを円安・ドル高方向に見直したが、足元の為替レートがなお円安・ドル高に進んでいることから業績の4回目の上方修正期待も底流し買い材料視されている。

■機能性材料の拡販に価格改定効果、円安恩恵がオン

 同社の今12月期業績は、今年5月12日、8月8日に今期2Q累計業績を2回上方修正したあと、2Q累計決算発表時の8月10日に今度は12月期通期業績を上方修正した。期初予想より売り上げを40億円、営業利益を40億円、経常利益を53億円、純利益を32億円それぞれ引き上げ、売り上げ2260億円(前期比4.9%増)、営業利益100億円(同2.42倍)、経常利益121億円(同2.43倍)、純利益79億円(同73.4%増)とV字回復を見込んだ。利益は、市場コンセンサスを17億円~33億円上回る。

 機能性材料でインクジェットインキやカラーフィルター用顔料分散液などの拡販が続き、原材料価格上昇に伴う価格転嫁の価格改定効果が上乗せとなり、さらに為替レートも、2Q累計業績で前年同期の1ドル=122.89円から1ドル=134.85円と円安・ドル高となった円安効果も業績を押し上げた。今12月期通期では、期初想定の1ドル=125円から1ドル=135円と円安・ドル高方向に見直したが、足元の為替レートは、1ドル=146円台で推移しており、なお業績の上ぶれ期待につながっている。今期配当は、通期業績の上方修正とともに期初予想の年間30円から31円(前期実績30円)へ増配を予定している。

■業績上方修正のたびに上値を伸ばすがまだPERは8倍、PBRは0.8倍

 株価は、欧米銀行の経営破綻に伴う世界同時株安にツレ安した年初来安値929円から下値を切り上げ、2Q累計業績の1回目の上方修正で1200円台に乗せ、2回目の上方修正で1300円台に上値を伸ばし、12月期通期業績の上方修正・増配とともに1380円高値をつけ、この高値調整から再発進し年初来高値追いとなった。それでもPERは8.7倍、PBRは0.8倍となお割安であり、次の上値ターゲットとして2018年1月高値1889円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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