図研、AIエンジンを組み込んだプリント基板設計用ソフトを開発、市場投入までの時間を大幅に短縮

■AIを活用したプリント基板・アドバンストパッケージ設計用自動配置配線機能

 図研<6947>(東証プライム)は19日、AIを搭載したプリント基板およびアドバンストパッケージ設計用自動配置配線機能「Autonomous Intelligent Place and Route」を、CR-8000 Design Forceのオプションソフトウエア製品としてリリース開始すると発表。

*「Autonomous Intelligent Place and Route」は、「CR-8000 Design Force 2024」から利用可能

 難易度の高い複雑な設計を限られた期間内に行う電気設計者は、半導体やECUなどの電子部品の高機能化、統合化にともない、エレクトロニクスシステム設計に多大な工数と時間を費やしている。今後この課題は、人的リソース枯渇の問題もあり、一層深刻になると予想される。図研はこの課題を解決するためAI技術の適用を研究してきたが、その成果として、作業効率を画期的に向上する効果が期待できる設計領域において新たなソリューションを投入する。

 「Autonomous Intelligent Place and Route」は、図研において学習済みの特徴データベースを利用した自動配置配線機能の他、基板内の類似パターンを認識して一括で配線する模倣配線、コネクタやBGAへのバス配線を自動生成するバス終端配線候補生成など汎用的な機能を先行して販売開始するが、今後、順次その機能を強化し、より幅広い設計要件に対して柔軟に適用可能なソリューションとして発展させる。最終的にはユーザー固有の設計要件を学習させることで独自の特徴データベースを形成し、それを戦略的に切り替えて自律的な自動配置配線を行うフローを実現する計画である。

 「Autonomous Intelligent Place and Route」では、図研の英国・日本の技術部門が共同開発した独自技術によるAIエンジンをCR-8000シリーズに組み込みCAD上の配置配線コマンドと直接連携させることで高速動作を実現した。

■製品機能構成

【Autonomous Intelligent Place and Route(AIPR)】

 「Autonomous Intelligent Place and Route」はAI技術を活用した新しい自動配置配線のプラットフォームである。また、従来の製品で高速信号回路設計に有用な設計アシストツールである「Intelligent Place and Route」の機能も含まれている。AIを活用した自動設計機能と組み合わせて、より高精度な設計と設計時間の短縮が期待できる。

【Basic Brain】

 「Basic Brain」は図研による学習済み特徴データベースを利用したAI自動配置配線機能で、これまで蓄積してきた図研の基板設計のナレッジと新しく開発したAIエンジンを組み合わせることで、従来の自動配置配線とは一線を画している。類似パターンを認識し配線する模倣配線、バス配線を自動生成するバス終端配線候補生成などの機能を搭載している。

【Dynamic Brain】

 「Dynamic Brain」はユーザーの設計資産や新たな設計データを学習させた特徴データベースを活用するAI自動配置配線機能である。AIにユーザの設計資産や新たな設計データを設計対象物のアプリケーション分野などの特徴別に学習させることで、対象分野別に設計者のナレッジや嗜好を汲み取った設計を実行する。これにより、設計者の経験やスキルに依存しない高品質な基板設計を実現する。

【Autonomous Brain】

 「Autonomous Brain」はAIが対象分野別の複数の特徴データベースを戦略的かつ自律的に選択して配置配線設計を繰り返し、設計を最適化する自律的なAI自動配置配線機能である。Dynamic Brainの学習データを活用することで、AIが設計者の思考に近い自動配置配線を実行でき、人手の設計に限りなく近い基板の自動設計を実現する。

■3段階AIアプローチの主な利点:

・学習ソースが新たなプロジェクトにベストプラクティスをもたらす
・AIの洞察力と人間の専門性とのコラボレーションを強化
・設計の反復を加速し、市場投入までの時間を短縮
・継続的な自己改革とAI能力の進化
・図研の先進プラットフォームCR-8000へのシームレスな統合

 「Autonomous Intelligent Place and Route」および「Basic Brain」の日本語版、グローバル(英語)版は、2023年度末のリリース開始を予定している。「Dynamic Brain」および「Autonomous Brain」については来年度以降、順次リリースを予定している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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