加賀電子は24年3月期3Q累計進捗率順調で通期上振れの可能性

(決算速報)
 加賀電子<8154>(東証プライム)は2月7日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。電子部品事業における前期のスポット需要の反動、グループ会社での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を上回る水準で着地した。通期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値を更新する場面があった。その後は利益確定売りで反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期3Q累計減益だが、進捗率順調で通期上振れの可能性

 24年3月期3四半期累計(23年4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比10.1%減の4064億58百万円、営業利益が21.2%減の204億91百万円、経常利益が23.7%減の203億11百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.1%減の159億92百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、グループ会社での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画に対して売上高は約60億円、営業利益は約20億円、それぞれ上回る水準で着地した。なお営業外では持分法投資損益が悪化(前期は投資利益58百万円、当期は投資損失33百万円)、為替差損益が悪化(前期は為替差益3億75百万円、当期は為替差損6億86百万円)した。特別利益で投資有価証券売却益が7億29百万円増加、負ののれん発生益4億81百万円を計上、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

 営業利益の前年比▲56億円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲36億円、スポット販売の反動で▲43億円、販管費で+21億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。また営業利益の社内計画(185億円)比+19億円上振れの要因別分析は、販売数量・販売ミックスで+7億円、スポット販売の反動で+0百万円、販管費で+10億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。

 電子部品事業は売上高が11.8%減の3577億94百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.5%減の171億48百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要の反動、グループ会社(エクセル)での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などが影響した。EMSビジネスでは車載向けが伸長したが、医療機器・産業機器関連の主要顧客における在庫調整が影響した。

 情報機器事業は売上高が3.9%増の302億66百万円、利益が28.1%増の19億21百万円だった。量販店向けパソコン販売が低調だったが、教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.5%減の18億16百万円で利益が94.1%増の2億62百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が7.7%増の165億81百万円で利益が9.0%増の10億59百万円だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が10.9%減の156億58百万円、加賀EFIが51.0%減の34億32百万円、エクセルが4.2%減の13億20百万円、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が26.1%減の117億56百万円、EMSが25.0%減の59億41百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が28.1%増の19億21百万円、その他が24.4%増の7億72百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円、第3四半期は売上高が1314億14百万円で営業利益が66億15百万円だった。四半期ベースで特に大幅な変動は見られない。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%である。

 一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益▲72億49百万円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売の反動で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が82%、経常利益が81%、親会社株主帰属当期純利益が89%と順調だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上場来高値を更新する場面があった。その後は利益確定売りで反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。2月7日の終値は6790円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1949億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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