建設技術研究所は上値試す、22年12月期2Q累計進捗率順調で通期上振れの可能性

(決算速報)
 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は8月9日の取引時間終了後に22年12月期第2四半期累計連結業績を発表した。収益認識会計基準適用のため前年同期比増減率は非記載だが、受注が好調に推移して通期会社予想に対する進捗率は順調だった。第3四半期以降から人件費の増加が見込まれるとしているが、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。防災・減災対策の強化やインフラ老朽化対策の推進など国土強靭化関連で事業環境が良好であり、収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。そして21年の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■22年12月期2Q累計進捗率順調、通期上振れの可能性

 22年12月期第2四半期累計連結業績(収益認識会計基準適用のため前年同期比増減率は非記載)は、売上高が418億44百万円、営業利益が54億62百万円、経常利益が56億01百万円、親会社株主帰属四半期純利益が37億96百万円だった。

 収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が70億73百万円増加、売上原価が43億31百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ27億41百万円増加している。なお収益認識会計基準適用前の前年同期実績は売上高が352億22百万円、営業利益が35億65百万円、経常利益が36億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23億55百万円だった。

 グループ合計の受注高は前年同期比10.1%増の527億85百万円だった。国内建設コンサルティング事業は防災・減災対策の強化やインフラ老朽化対策の推進など国土強靭化関連で堅調に推移した。海外建設コンサルティング事業もコロナ禍に伴う制限解除で正常化に向かった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が235億38百万円で営業利益が34億90百万円、第2四半期は売上高が183億06百万円で営業利益が19億72百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が780億円、営業利益が64億円、経常利益が65億円、親会社株主帰属当期純利益が43億円としている。グループ合計受注高の計画は21年12月期比6.5%減の790億円である。配当予想は21年12月期と同額の60円(期末一括)としている。

 収益認識会計基準適用前の21年12月期実績(売上高744億09百万円、営業利益69億91百万円、経常利益71億18百万円、親会社株主帰属当期純利益44億71百万円)との単純比較で見ると売上高は4.8%増、営業利益は8.5%減、経常利益は8.7%減、親会社株主帰属当期純利益は3.8%減となる。コロナ禍の不透明感や中期成長に向けた先行投資などを考慮しているようだが、やや保守的だろう。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が53.6%、営業利益が85.3%、経常利益が86.2%、親会社株主帰属当期純利益が88.3%と順調だった。第3四半期以降から事業拡大に伴う積極的な人材確保および賃金上昇による人件費の増加が見込まれるとしているが、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は順調に水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。そして21年11月の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。8月9日の終値は2740円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS304円11銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2734円99銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約327億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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