【株式市場特集】銀行株の動向が市場の焦点、半導体株と同様に「買いが買いを呼ぶ」展開も

■銀行株投資の選択肢

 多くの銀行株の中から投資対象を選ぶ際には、PBR1倍割れやPER1ケタ台、配当利回りが市場平均を上回る銘柄が注目される。メガバンクをはじめ、業績上方修正銘柄や増配銘柄、自己株式取得銘柄など、多様な投資スタンスに応じた選択が可能である。岸田流の「貯蓄から投資へ」のシナリオには、投資家からの期待が集まっている。特に銀行株に対する投資意欲が高まっており、新規資金の流入が見込まれる。半導体株と同様に「買いが買いを呼ぶ」展開も予想される。

■業績上方修正、増配、自己株式取得など動きのあった銘柄に優先順位

 まず注目したい銀行株は動きのあった銘柄で、今3月期第3四半期決算発表とともに業績の上方修正や増配、さらに自己株式取得を発表した割安株である。業績上方修正では発表順に百十四銀行<8386>(東証プライム)、ちゅうぎんフィナンシャルグループ<5832>(東証プライム)、群馬銀行<8334>(東証プライム)、四国銀行<8387>(東証プライム)、千葉興業銀行<8337>(東証プライム)が該当する。このうち4行が昨年来高値を更新中だが、PERは7倍~11倍でPBRは0.2倍、0.3倍レベルである。百十四銀行と四国銀行は、業績修正とともに増配も発表し、四国銀行の配当利回りは3.24%に高まった。増配銘柄は同じく第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)、しずおかフィナンシャルグループ<5831>(東証プライム)、千葉銀行<8331>(東証プライム)、いよぎんホールディングス<5830>(東証プライム)、山陰合同銀行<8381>(東証プライム)と続いた。このうち第四北越FGとしずおかFGが、自己株式取得との同時発表で、第四北越FGの配当利回りは3.11%となっている。メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)、りそなホールディングス<8308>(東証プライム)三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)も増配組である。

 自己株式取得行は、前記の第四北越FGとしずおかFGのほか滋賀銀行<8366>(東証プライム)、阿波銀行<8388>(東証プライム)、百五銀行<8368>(東証プライム)、南日本銀行<8554>(福証)と続き、増配と同時発表の南日本銀行の配当利回りは3.20%となっている。めぶきフィナンシャルグループ<7167>(東証プライム)は、720万株(発行済み株式総数の6.61%)を2月20日に消却した。

■低PBRランキングではトップ10に8行もがランクインし超割り負け顕著

 全市場ベースの低PER・PBR・高配当利回りランキングでは銀行株の上位ランクインが目立っている。とくに低PBRランキングでは、上位10銘柄に8行もがランクインする突出ぶりとなっている。具体的にはトップの0・09倍の豊和銀行<8559>(福証)以下、南日本銀行、宮崎太陽銀行<8560>(福証)、じもとホールディングス<7161>(東証スタンダード)、高知銀行<8416>(東証スタンダード)、大光銀行<8537>(東証スタンダード)、大分銀行<8392>(東証プライム)、東和銀行<8558>(東証プライム)、秋田銀行<8343>(東証プライム)と続き、10位の岩手銀行<8345>(東証プライム)のPBRは0.24倍で同倍率には清水銀行<8364>(東証プライム)、栃木銀行、北日本銀行<8551>(東証プライム)も並んでいる。

 高配当利回りランキングのトップ5は、4.05%の東北銀行<8349>(東証スタンダード)、大東銀行<8563>(東証スタンダード)、トマト銀行<8542>(東証スタンダード)、清水銀行、宮崎太陽銀行と続き宮崎太陽銀行の利回りは3.73%となる。同じく低PERランキング上位5行は、4・89倍の豊和銀行<8559>(福証)以下、東京きらぼしフィナンシャルグループ<7173>(東証プライム)、佐賀銀行<8395>(東証プライム)、筑波銀行、高知銀行<8416>(東証スタンダード)と続き、高知銀行のPERは7.24倍である。各ランキングとも九州地方を地盤とする地銀の露出度が高いが、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1工場の稼働開始に続き第2工場の建設も進む半導体景気が大きなメリットになる可能性も期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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