日本エム・ディ・エムは25年3月期小幅増益予想

(決算速報)
 日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は4月30日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。売上面は獲得症例数増加により増収だが、利益面はインフレや円安に伴う調達コストの上昇などにより減益だった。25年3月期は小幅増益予想としている。償還価格引き下げ、円安による調達コストの上昇などがマイナス要因となるが、獲得症例数増加による増収効果や原価低減効果などで吸収する見込みだ。なお33年3月期を最終年度とする長期VISION「RT500」および27年3月期までの「1st Stage経営計画」を発表した。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年3月期減益だが25年3月期小幅増益予想

 24年3月期の連結業績は、売上高が23年3月期比8.8%増の231億77百万円、営業利益が13.7%減の17億46百万円、経常利益が9.8%減の18億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.7%減の12億71百万円だった。配当は23年3月期比1円増配の14円(期末一括)とした。連続増配予想で配当性向は29.0%となる。

 売上面は日本国内および米国での獲得症例数増加により増収だが、利益面はインフレや円安に伴う調達コストの上昇、日本国内における償還価格引き下げの影響、米国の売上増加に伴う支払手数料の増加、研究開発費の増加、賃上げ実施に伴う人件費の増加などにより減益だった。

 セグメント別(セグメント間取引・全社費用等調整前)に見ると、日本は売上高が5.2%増の130億04百万円で営業利益が11.2%減の10億93百万円、米国は売上高が12.3%増の143億60百万円で営業利益が1.8%減の6億36百万円だった。なお米国の外部顧客向け売上高は、USドルベースでは6.2%増の70百万円USドル、円換算後では13.7%増の101億73百万円だった。米国売上の為替換算レートは前期が1USドル=134.95円で、当期が1USドル=144.41円だった。

 医療機器類の品目別売上高(セグメント間取引相殺消去後、日本は収益認識に関する会計基準を適用しているため売上高から販売促進費の一部を控除)を見ると、人工関節は日本が4.1%増の49億32百万円で米国が13.8%増の101億41百万円、骨接合材料(日本)は5.6%増の45億63百万円、脊椎固定器具は日本が4.3%増の33億22百万円で米国が20.2%減の32百万円、その他(日本)は10.1%増の3億90百万円だった。なお自社製品比率は0.4ポイント低下して80.2%となった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高54億02百万円で営業利益3億46百万円、第2四半期は売上高55億50百万円で営業利益2億71百万円、第3四半期は売上高60億41百万円で営業利益5億66百万円、第4四半期は売上高61億84百万円で営業利益5億63百万円だった。営業利益は第2四半期をボトムとして回復傾向である。

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比8.7%増の252億円、営業利益が5.9%増の18億50百万円、経常利益が0.4%増の18億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.2%増の13億円としている。想定為替レートは1USドル=150円としている。配当予想については24年3月期比1円増配の15円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は30.4%となる。

 償還価格引き下げ、円安による調達コストの上昇などがマイナス要因となるが、獲得症例数増加による増収効果や原価低減効果などで吸収する見込みだ。なお4月30日付で、33年3月期を最終年度とする長期VISION「RT500」および27年3月期までの「1st Stage経営計画」を発表した。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は底固め完了

 株価は安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。5月1日の終値は680円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS49円39銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS968円74銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約180億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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