マーケットエンタープライズは24年6月期利益予想を上方修正

(決算速報)
 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は5月14日の取引時間終了後に24年6月期第3四半期累計連結業績を発表した。デリバティブ評価損や減損損失の計上により経常・最終赤字だが、売上面は個人リユース事業などが牽引して2桁増収となり、営業利益は成長投資を増収効果で吸収して大幅増益だった。そして通期の利益予想を上方修正した。また株主優待制度の新設も発表した。積極的な事業展開で25年6月期も収益回復基調を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だったが、利益予想上方修正や株主優待制度新設を好感して急反発している。出直りを期待したい。

■24年6月期3Q累計大幅営業増益、通期利益予想を上方修正

 24年6月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比18.8%増の132億58百万円、営業利益が169.1%増の1億06百万円、経常利益が2億27百万円の損失(前年同期は89百万円の利益)、親会社株主帰属四半期純利益が6億51百万円の損失(同1億06百万円の損失)だった。

 営業外費用でのデリバティブ評価損(SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約に基づくデリバティブ評価損益)2億79百万円の計上や、特別損失での減損損失1億90百万円計上により経常・最終赤字だったが、売上面は個人リユース事業などが牽引して2桁増収となり、営業利益は成長投資を増収効果で吸収して大幅増益だった。

 なお営業利益+66百万円の増減分析は、増益要因として増収要因+7億79百万円、減益要因として人件費・採用費増加▲3億71百万円、拠点関連費用増加▲1億16百万円、粗利益率低下▲1億10百万円、その他販管費の増加(業容拡大に伴う荷造運賃・販売手数料等の増加)▲1億15百万円だった。

 ネット型リユース事業は売上高が29.1%増の79億21百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が64.8%増の3億57百万円だった。売上面は個人向けリユース、マシナリー(農機具)、おいくらとも好調に推移し、利益面では第2四半期以降の生産性向上策も寄与した。

 メディア事業は売上高が11.9%減の5億06百万円、利益が21.1%減の2億60百万円だった。Google社が実施した検索エンジンにおけるコアアルゴリズム変更の影響を受けて減収減益だった。ただし第3四半期は回復傾向となった。

 モバイル通信事業は売上高が7.5%増の48億81百万円、利益が16.8%増の3億12百万円だった。新規回線の獲得数が順調に推移した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が41億06百万円で営業利益が1億54百万円の損失、第2四半期は売上高が44億20百万円で営業利益が1億13百万円、第3四半期は売上高が47億32百万円で営業利益が1億47百万円だった。新規拠点開設などの先行投資をこなしながら、第2四半期および第3四半期の営業損益が改善した。

 通期連結業績予想(2月14日付で下方修正)は5月14日付で各利益を上方修正して、売上高が23年6月期比18.0%増の180億円、営業利益が90.2%増の1億80百万円、経常利益が1億円の損失(23年6月期は94百万円の利益)、親会社株主帰属当期純利益が5億40百万円の損失(同2億90百万円の利益)としている。

 前回予想に対して営業利益を80百万円、経常利益を35百万円、親会社株主帰属当期純利益を7百万円それぞれ上方修正し、営業利益は増益幅が拡大、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は損失幅が縮小する見込みとした。営業利益については、個人向けリユース分野において、買取チャネルの再最適化や人員配置の最適化といった生産性向上施策の成果が、第3四半期より顕在化してきたことが寄与する見込みだ。積極的な事業展開で25年6月期も収益回復基調を期待したい。

■株価は急反発

 株価は安値圏でモミ合う形だったが、利益予想上方修正や株主優待制度新設を好感して急反発している。出直りを期待したい。5月15日の終値は799円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円92銭で算出)は約3.1倍、そして時価総額は約43億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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