【どう見るこの株】ファーストリテイリングは短期売り一巡すれば戻り期待だが、月足チャートが重要な場面

ユニクロ

どう見るこの株 ファーストリテイリング<9983>(東1・100株単位)が前週末、窓開けして急落した。前8月期予想下回り短期の投げが出ている。短期売り一巡なら反発予想だが、月足25カ月線で重要な場面。

<Q>ファーストリテイリングの株価が急落したがなぜか。

<A>週末・9日(金)の株価は、いきなり4200円安の4万4440円で大きな窓開けして寄り付き、安値4930円安の4万3710円まで大きく下げた。マーケットでは、前日8日(木)に発表した15年8月期決算に失望したということのようだ。

<Q>2ケタ増益と決して悪い数字ではなかったと思うが。

<A>売上は21.6%増の1兆6817億8100万円、営業利益26.1%増の1644億6300万、純益47.6%増の1100億2700万円と好調だった。ただ、会社が第3四半期時点で公表していた営業利益2000億円、純益1200億円には届かなかった。また、会社四季報・夏号予想の営業利益2050億円、純益1220億円は下回った。事前の修正や観測報道もなかったことから株価に響いたようだ。ただ、営業利益でみれば会社予想に対し実績が約18%下回った状況で、一応、予想を2割以上変動する場合は修正発表が必要とみられており今回の発表は事前の修正は必要のない範疇とみられている。

<Q>今期も増収増益が予想されていると思うが。

<A>今期(16年8月期)は国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業、グローバルブランド事業とも伸長の見通し。売上は13.0%増の1兆9000億円、営業利益21.6%増の2000億円、純益4.5%増の1150億円、1株利益1128円(前期1079.4円)、配当年370円(同350円)の見通し。営業利益2000億円は1年遅れとなるが、決して悪い数字ではない。

<Q>株価見通しはどうか。

<A>短期筋は、15年8月期利益の予想未達を嫌気して売っている。当然だろう。利回りが1%以下と魅力はなく、PERが40倍近くと高いだけに予想を下回るとモロに響く。もっとも、短期の投げが一巡すれば押し目買いも予想される。一方、週足でみれば8月中旬に、「首吊り足」が出て26週線を割り込み、前週まで26週線を7週連続で下回り形としてはよくない。しばらくは戻り売り基調の可能性がある。とくに、注意をもって見ておく必要があるのは月足といえる。

<Q>なぜか。

<A>長期相場の判断となる、「24カ月線」にわずかまで接近しているから。仮に、割り込むようだと2011年を起点とした長期上昇相場が終わってしまう。「ユニクロの成長に影」という見方が強まるようだと24カ月線を下回る可能性が強まる。今後、月次売上には細心の注意が必要がある。月足チャートで重要なポイントに位置していることを注視したい。

本日のアクセスランキング

  1. 常陽銀行、高推論型のGoogle生成AI「Gemini 2.5 Pro」導入、本部業務の効率化へ
  2. データセクション、液体冷却対応の次世代AIデータセンターを印西に構築へ
  3. 年金積立金、運用資産277兆円に拡大、収益率5.52%で過去最高水準
  4. NTT、SAR衛星で道路陥没予兆を世界初検出、衛星電波で道路空洞も把握
  5. メディネット、インド発再生医療製品「Stempeucel」導入へ、国内独占開発権のオプション契約を締結
  6. IHI、沖縄電力から13万kWGTCC受注、牧港火力で次世代電源整備へ
  7. ビジネスブレイン太田昭和、年間配当は44円増の133円、株主優待も拡充
  8. 明治など、ワクチン抗体価が高い人の腸内環境を解明、ヨーグルト習慣と高抗体価に関連
  9. アクセルスペース、補助金4億8700万円を営業外収益に計上、汎用衛星バス開発支援
  10. I-ne、株主優待を最大2万円に拡大、デジタルギフト導入し初の配当も実施

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る